聖書協会世界連盟(UBS)が発表した『世界聖書利用報告書 2015年年次進展状況(Global Scripture Access Report - 2015 Annual Progress)』によると、世界の各聖書協会は同年、約16億人に話されている50の言語による聖書の翻訳の完成を助けた。4日にUBSが記者発表で伝えた。
「2015年は、約3300万人が話す28もの言語にとって異例であった」とUBSは述べている。その28の言語を持つ社会のうち、「11の社会では今や聖書全巻を初めて持つことになり、六つの社会では新約聖書、そして11の社会では聖書の初めての、あるいは追加的な部分を持つようになった」という。
言語は常に発達しつつあり、そのために各聖書協会は、できるだけ多くの人々が聖書のメッセージに関わるのを助けるために、求めに応じて、既存の翻訳を改訂し新しい翻訳を提供する責任を負ってもいると、UBSは説明している。「2015年にこれがさらに20の新しい翻訳や改訂、そして二つのスタディー版という結果をもたらし、1億2700万人を超える人々に届く可能性がある」と、UBSは記した。
UBSによると、聖書全巻は今や51億人近くが話している563の言語で利用できるようになっており、さらに6億5800万人が話している1334の言語で新約聖書があるという。これによって、2億8100万人が聖書の一部分だけ、そしてさらに4億9700万人が自らの言語に訳された聖書を全く持っていないことになると、UBSは2015年末の聖書翻訳の状況について説明している。
「世界中の耳の聞こえない人たちの社会に奉仕するために、手話への翻訳も大きく進展しつつある」とUBSは述べている。「3億人を超える人々が耳が聞こえず、世界で7千万人が自らの第1言語または『心の』言語として手話を用いている。400を超える固有の手話があるが、しかし新約聖書の手話はアメリカ手話だけしかなく、そしてこれが現在利用できる手話訳聖書で最大のものである」
UBSによると、セイロン聖書協会が使徒言行録から手話訳を出版したほか、ハンガリーとリトアニアで初のマルコによる福音書の手話訳草案が製作されたという。そして、ブラジルでは15の新しい聖書の物語が手話訳で製作され、メキシコのチームもルカによる福音書と使徒言行録の手話訳を完成させた。さらに、日本のビデオ聖書チームが出エジプト記とテトスへの手紙、そしてエフェソの信徒への手紙を完成させたと、UBSは報告している。
また、UBSは、世界中で2億8500万人が視覚障がい者であると推計されており、そのうち4千万人は目が見えないとして、点字聖書を提供することによってこれらの人々への奉仕に大きな進展が見られると述べている。
具体的には、スリランカでシンハラ語の点字聖書が作られ、これは点字聖書では44番目の言語となった。また、メキシコでは先住民族の言語の一つであるプレペチャ語で初めての点字部分訳が作られた。そして、スペイン語やアルメニア語の点字部分訳が追加されたほか、オランダ語の点字訳で新しい版が出たという。
さらに、デジタル聖書ライブラリー(DBL)は、聖書をできるだけ幅広く利用しやすくするとのUBSの方策において、中心をなしている。2015年末までに、DBLには1201もの聖書全巻ないし旧新約いずれか、および部分訳が957の言語で収められた。これらの言語は46億人の人たちによって話されている。DBLは協力団体である「全ての種族・全ての国民(Every Tribe Every Nation)」の支援を得て、UBSが所有し保持している。
「それによって、『BibleSearch(バイブルサーチ)』や『YouVersion(ユーバージョン)』のような協力団体を通じて聖書のテキストが提供され、聖書がより広く利用されるようになる」と、UBSは述べている。