NHKによると、日本外科学会は26日までに、群馬大学附属病院(前橋市)の2つの外科で過去8年間に行われた手術を調査した結果、肝臓に関する手術の死亡率が、全国平均を4〜10倍も上回っていたとする報告書をまとめた。群馬大学附属病院には当時、第一外科と第二外科の2つの外科があり、この2つの外科が競争するように手術数を増やした一方、十分な体制が取られず、また両外科間で連携が見られないケースもあったことなどから、術後の対応が遅れ、死亡率が平均を大きく上回る結果を招いた可能性があるという。
群馬大学附属病院の第二外科では2010〜14年の4年間に、腹腔(ふくくう)鏡を用いた肝臓切除手術で、術後に相次いで患者8人が死亡する医療事故が起きており、今回の調査はこの医療事故を受けて行われた。調査の結果、第二外科では肝臓に関する手術の死亡率が11%で、第一外科では4%と、それぞれ全国平均を10倍以上、または約4倍上回っていたという。
術後に死亡した患者50人を調べたところ、症状が進行し過ぎて手術が危険であったり、手術が患者にとってメリットになるとは考えにくいケースが4例あったほか、術後に患者が腹痛や発熱を訴えても必要なタイミングで検査が行われていなかったりしたという。また、食道がんの手術は両外科で行っていたが、両外科間での連携が認められないケースがあったという。
腹腔鏡を用いた手術で術後8人が相次いで死亡した医療事故では、同じ医師が8人を執刀していたことが明らかになっており、群馬大学附属病院は、調査委員会の報告書で、全てのケースで医師の過失があったことを認めている。また、この医療事故の影響により、群馬大学附属病院は昨年6月、厚生労働省から特定機能病院の認可を取り消されている。
日本外科学会は今回まとめた報告書を27日にも群馬大学附属病院の調査委員会に伝えるという。