金沢医科大学病院(石川県内灘町)に入院している6歳以上10歳未満の男児が、臓器移植法に基づき脳死と判定された。家族が臓器提供を承諾しており、18日にも臓器が摘出され、東北大学病院の10代の男児ら4人に移植が行われる。日本臓器移植ネットワークが17日に発表したと、国内主要紙が伝えた。
15歳未満の脳死判定は、臓器移植法が2010年に改正されて可能となった。男児は15歳未満では10例目となる。
朝日新聞や読売新聞によると、男児は事故のため低酸素性脳症になり、11月17日に脳死状態と診断された。12月15日に両親ら家族が臓器提供を承諾し、15〜16日に脳死判定が行われ、16日に脳死と判定された。18日には摘出手術が行われ、肺は東北大学病院(宮城)の10代の男児に、肝臓は国立成育医療研究センター(東京)の10歳未満の女児に、すい臓と腎臓の一つは藤田保健衛生大学病院(愛知)の60代男性に、もう一つの腎臓は岡崎市民病院(同)の50代女性に移植される。心臓と小腸は、医学的な理由から移植を断念したという。
朝日新聞によると、家族は男児が脳死状態と診断された後、約1カ月間にわたって計4回、移植コーディネーターから説明を受けてきた。毎日新聞によると、両親には臓器移植を待ちながら亡くなった知人がおり、「(男児が)助からないのであればどこかで生きていてほしい」と申し出たという。
日本臓器移植ネットワークによると、同ネットワークに登録されている臓器移植希望者は、11月末現在で1万3929人おり、そのうち肝臓の移植希望者が1万2794人となっている。一方、今年の臓器提供者は11月末現在、脳死下が51人、心臓停止後が29人の合わせて80人、移植を受けた人は271人となっている。