ルーテル世界連盟(LWF)と援助機関「ディアコニエ・ハンガリー」による調査団は、ドイツへ渡ろうと通過する人が後を絶たないセルビアとクロアチアの国境にいる難民に、共同で支援を行う方法を調べている。LWFが16日に公式サイトで伝えた。
ディアコニエ・ハンガリーの難民問題担当幹事であるアッティラ・メスザロス氏と、LWF世界奉仕部顧問のジョン・ダメレル氏は、両機関がどうすればLWF加盟教会であるハンガリー福音ルーテル教会をより良く支援できるかを見極める任務を負っている。
ハンガリー政府が同国南部のロスケでセルビアとの国境を閉鎖して以来、難民は新たな経路を探さなければならなくなっている。セルビアからは、ある人たちは今やクロアチアやスロベニア、オーストリア経由でドイツへたどり着こうとしている。ところが、大多数の人たちはクロアチア、ハンガリー、そしてオーストリア経由の経路を選ぶと、メスザロス氏は言う。
ハンガリーの国境封鎖は、難民の流れを2日間とどめただけであった。それ以来、約3千人から7千人もの難民がクロアチアとの国境を毎日渡り、ハンガリーを目指していると同氏は話す。その大多数はシリアやイラク、アフガニスタン、ソマリア、そしてパキスタンの紛争から逃げてきた。ハンガリー政府は彼らを無料のバスや電車でクロアチア国境からオーストリアへ運んでいる。調査団は、国境通過が最も多い町であるセルビアのシドとクロアチア側のトヴァルニクを訪ねた。
メスザロス氏は、シドには良い救援システムがあり、毎日何千人もの難民が必要とするものを提供しては、道案内をしていると説明した。「私はすでにロスケやブダペストのケレティ駅に行ったことがあった。そこはとても混乱していて、一部の警察は態度がとても不快だった。シドでは、やり方が違っていると私は思った」
難民がシドに着く時、援助組織や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、そしてセルビアのエキュメニカルな援助組織が彼らを待っている。
地元のプロテスタントやエキュメニカルな教会は、自らと同じように定期的に難民と共に働いていると、スロバキア語を話すシドのプロテスタント教会の牧師がメスザロス氏に語った。
「秋や冬になるとますます暖かい衣服や靴や毛布が必要となることが分かっているので、私たちはこの地域で支援を行う可能性について考えている」と、メスザロス氏は語った。欧州連合の非加盟国であるセルビアに物資を運ぶのは難しかったため、募金を送ったほうがやりやすかったという。
LWFの調査団はまた、ディアコニエ・バヴァリア、UNHCR、ヘルシンキ委員会、そして移民のためのハンガリー協会「メネデク」の代表者たちとも会った。ハンガリーの教会に加えて、ヨーロッパにある他のLWF加盟教会は難民を直接支援しており、世界中のルーテル教会から支援や連帯がさらに送られてきている。
ヨーロッパの教会に対する声明文や書簡で、LWFのマルティン・ユンゲ総幹事は、旅人をもてなすというキリスト教徒の義務にこたえる難民政策を、各国政府が創り出す必要性を繰り返し強調してきた。
10月の初め、ハンガリーへの訪問の間にヨーロッパのLWF副議長が同地域に、尊厳ある難民政策を求めた。
LWFは世界中で約200万人の難民と国内避難民を支援しており、その中にはヨルダンに逃れたシリア人やケニアのダダーブ・キャンプにいるソマリア人も含まれている。
難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)は、シリア難民受け入れのために中東情勢を学ぼうと、11月7日(土)午後2時から4時まで、「シリア難民受け入れに関して私どもが知るべき『中東情勢』」と題してセミナーを開く。
難キ連は、「国連安保理での総理アピールには、シリア難民を日本で受け入れる表明はなされず、周辺諸国への支援の増額が示されたに過ぎませんでした。シリアにも周辺諸国にも、多くの『難民になれない難民』の人々が苦しんでいます」と説明し、「最も多くの難民を受け入れている周辺諸国、レバノン、ヨルダン・・・の状況は?」と問い掛けている。
講師は、カリタス女子短期大学学長でカイロ大学文学部日本学科客員教授、群馬医療福祉大学特任教授・東京純心大学客員教授の久山宗彦氏。会場は雙葉学園幼きイエスの会ニコラバレ(東京都千代田区)104会議室。問い合わせは難キ連まで。