女性の霊的成長を励ます「"STAND" Women's Ministry」が主催する女性のためのカンファレンス「ウィメンズ・カンファレンス 2015」が5日、聖書キリスト教会(東京都練馬区)で開かれた。12回目の今回は、前日に開催された「Japan Gospel Choirs Fellowship Concert 2015」のゲストで、米国のゴスペルシンガーで伝道師のマーサ・ムニッジさんをメインスピーカーに迎え、オアシスタイムと名付けた2回のセッションで、女性に向けたメッセージを送った。前夜のコンサートの興奮冷めやらぬ中、全国から会場に集まった幅広い世代の女性たちは、ステージに上がったゴスペルクワイヤのリードのもと、全身全霊を込めてマーサさんの話に耳を傾け、主を賛美した。
これまでは男性を招くことは一度もなかったが、今回のオアシスタイム①では、"STAND" Women's Ministry 代表者の粟野めぐみさんの夫でピアニストのピアノコウジさんが、ゴスペルクワイヤの伴奏を担当。オアシスタイム②では、同団体創立者の陽子ラッカーさんの夫でゴスペルシンガーのラニー・ラッカーさんがクワイヤを率いて登壇し、特別賛美をささげた。それぞれの夫にも支えられたカンファレンスとなった。
今年のメインスピーカーとしてマーサさんを招くことになったいきさつについて、陽子さんは、マーサさんがゴスペルアーティストとして伝道してきたことを理由の一つに挙げる。しかしそればかりではなく、マーサさんが数年前に米国でウィメンズ・カンファレンスを始めたことを知り、同じ女性として、また母として、マーサさんが女性へのミニストリーへの思いを強く持っていることを知るようになった。粟野さんと共に祈り、マーサさんに今回のカンファレンスのメッセージの依頼をしたとき、マーサさんが「神の時だ」と快く引き受けてくれたと振り返った。実際に会うと、グラミー賞やドーヴ賞を受賞した有名人というイメージはまったくなく、神を心から愛し、また人に対する愛と憐(あわれ)みに満ちあふれているような人だったという。
オアシスタイム①は、「見えるところではなく信仰によって歩む、神の約束をみごもる」がテーマ。来日は今回が初めてというマーサさんは、「20年以上も前、(自分に)示された『世界のあちらこちらの民族に遣わす』という神の約束が実現した」と、その喜びを表現。当時は、その約束が何を意味しているのか分からなかったというが、ただ、神が語ったことは必ず実現すると信じて待った結果、「神の完璧なタイミングで現実のものとなった」と語った。
その上で、マーサさんは、神が語られた約束の実現を待ち続けている人、それでもあまりに時間がたちすぎて実現しないかもしれないと否定的な気持ちが湧き始めている人に対し、「神はノーと言わない、常にイエスである方だ」と励ました。そして、「目に見えるものに頼るのではなく、あなたの願う祈りに対して『イエス』と答えてくださる神を信じるならば、心の底から湧きあがる喜びを感じることができる」と語り掛け、あらためて「喜びなさい!」という聖書の御言葉を宣言した。
またメッセージをただ座って聞くのでなく、立ち上がってその喜びを体で表現するようにと促し、信仰からくる喜びを持ち、「くるっと一周する」ことを勧めた。そうすることで、「環境や状況も同じように一変することを確信できるはず」と述べ、母親が多くのつらさや痛みを乗り越え、子どもの誕生という大きな喜びに満たされるように、「神の約束をみごもったら、それは必ず生まれ出てくると信じ、『神の完璧な時』を待ちましょう」と声を強めた。
オアシスタイム②では、「女性と健康」をテーマに、実際に自身の人生を変えた大きな体験を振り返りながら話をしたマーサさん。年齢を重ねるごとに健康に支障をきたし、何人かの医者にかかって幾つもの薬を試す中で、それらが必ずしも助けにはならないということを身をもって知ったと告白した。その時のことを、「この世の全ての土台はイエスであることを再確認し、身体的な問題が霊的な問題と密接に関わっているということを神から教えられた。悪い症状を引き起こす原因になっているものを、自分で手放さなくてはいけないという気付きが与えられたとき、私の場合、手放すべきものとして神に示されたのは『人を赦(ゆる)さない心』でした」と話した。
彼女が言うのは、つまり、人に傷つけられたという過去の痛みの中に閉じ込められるのは「悪魔の策略」であり、人を赦せない思いに縛られたままでいることは、その策略に陥るということ。悪魔の策略に陥って怒りや激しい憤りに心が支配されると、体にも悪い影響が出る。マーサさんによれば、怒りは思考を停止させ、人を無気力にさせると医学的な研究でも報告されているそうだ。
イエス・キリストは、私たちが完全に自由になるために来てくださった。「赦される価値のない自分が赦されたという大きな恵みをあらためて思い返してこそ、私たちも人を赦すことができるのだ」と熱く語ったマーサさん。自身も幼い頃に親族から受けた痛みを無条件に赦すことで解放された体験に触れ、「(そのことを通じて)私自身、本当に自由になったからこそ、人種国籍関係なく、同じ女性として造られた人たちと共に神の祝福を分かち合いたい」と参加した女性たちへのメッセージを締めくくった。
参加者は、マーサさんに導かれるようにして、それぞれの思いを胸に「私たちを傷つけた人々を赦します」と唱え、「(その人々を)神が愛と恵みをもって取り扱ってくださるように」と祈りをささげた。中には感極まって泣き出した女性も多くいたが、マーサさんは、「この日を、信仰の一歩を大胆に踏み出す機会にしましょう」と呼び掛けた。多くの女性たちがその呼び掛けに応じ、実際に立ち上がって前に一歩、二歩、三歩と踏み出すというアクションを起こし、「もう後ろを振り向きません」と宣言することで、自らが解放されたことを実感した。