クリスマスイブの24日、イエス・キリストの降誕を祝う礼拝やミサが、日本でも各地の教会で行われた。
千葉県市原市の日本ナザレン教団五井教会では、恒例のクリスマスイブ礼拝が例年通り午後7時から行われ、同教会の教会員のほか、地域の住民や、附属幼稚園の園児や卒園生、その保護者らが訪れた。トーンチャイムの演奏や聖歌隊の賛美、聖書の拝読がされ、厳粛な雰囲気の中、松本節子牧師がメッセージを取り次いだ。
「イエスは、この世に人の姿となって降りてきた。『誕生』ではなく、まさに『降誕』であった」と松本牧師。「今、苦しみや悲しみを覚え、まさに暗闇のような中にいるような人もいるでしょう。私たちの周りに目を向けると、家族、友人、知人、もっと広く目を向けてみると、世界にはさまざまな状況下で暮らす幼子がいます。戦火の中にいる子もいるでしょう。不安と恐怖に押しつぶされそうな子もいるでしょう。彼らのために祈りましょう。今日、この日はイエスの降誕の喜びと共に、全ての民が平和に暮らせるように祈る日なのです」と静かに話した。礼拝が終わった8時半ごろには、静かな賛美と薄暗い室内でスヤスヤと眠る幼児の姿もあった。
今年創立110年を迎えた、東京・大久保にあるウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会でも、午後7時から恒例のキャンドルサービス(燭火礼拝)が行われ、クリスマスイブの夜を教会で過ごそうと多くの人々が訪れた。同教会の聖歌隊やアンサンブル、ハンドベル・クワイヤが、「われらはきたりぬ」「オー・ホーリー・ナイト」などのクリスマス・キャロルを奏で、日本発の讃美歌「朝日は昇りて」や、おなじみの「諸人こぞりて」「きよしこの夜」などを会衆一同で歌った。
礼拝後には、甲状腺ガンから奇跡の復活を果たした、韓国人テノール歌手ベー・チェチョルさんと、今年103歳を迎えた聖路加国際病院名誉理事長の日野原重明氏によるコンサートも行われた。ベーさんは、ガンの摘出手術により声帯と横隔膜の両神経を切断するが、声帯回復手術を受け、厳しいリハビリを経て奇跡の回復を遂げる。「以前は自分で車を運転していたが、今は神様が運転してくださる車の助手席に座っているよう」と、全てを神に委ねて得られた平安を語った。
現在でもまだ全盛期の6割程度しか回復していないというが、最初は会話もままならなかった。声が回復すればそれは神様のものと、声帯開腹手術を受け最初に発した声で歌った曲である「輝く日を仰ぐとき」や「主は我が羊飼い」など5曲を歌った。公の場では今回が初めてだという「オー・ホーリー・ナイト」も披露し、アンコールでは日野原氏作詞作曲の「愛のうた」を歌った。
各地のカトリック教会でも主の降誕を祝う夜半のミサが行われ、信徒らが聖なる夜に祈りをささげた。ミサは、イエス・キリストを闇の中に灯された光の象徴と位置付け、電灯を全て消した真っ暗な中で開祭。祭壇脇の大きなキャンドルに灯された火を一人ひとりに分ける形でキャンドルの光が聖堂を照らしていき、全員が声を揃えてクリスマス・キャロルを盛大に歌って、クリスマスを喜び祝った。
都内のあるカトリック教会では、説教の中で、司祭が「人間は神の中に平和を見なければいけない。紛争やテロなど国際的に悲惨な状況にある人々、日本でも、家のない人、子どもの貧困、無縁社会、孤立死などの問題がある中で、そういう人々にこそ福音の喜びを伝え、自分が愛されているという実感を持てるよう(私たちキリスト者は)務めなければいけない」と呼び掛けた。
横浜市にあるオリーブの木キリスト教会では、参加者一人ずつに渡されたキャンドルの明かりのもとで、集まった20人ほどの人たちが、聖歌や讃美歌から選曲されたクリスマス賛美約20曲を歌った。アドベント期間の主日礼拝では、1週目の「パプテスマのヨハネ」に始まり、「マリヤ」「ヨセフ」「イエス・キリスト」とメッセージが語られてきたが、この夜は「暗闇の地に光として来てくださったイエス・キリスト」をテーマに、新庄すが江牧師がヨハネの福音書1章1〜18節からメッセージを取り次いだ。
礼拝後の愛餐では、礼拝堂のスクリーンに米国のテレビドラマ「大草原の小さな家」から、シーズン1の第15話「プラムクリークのクリスマス」が映し出された。決して裕福とはいえないインガルス家では、両親も子どもも、家族を喜ばせようとこっそりクリスマス・プレゼントを用意する。大きな愛に溢れたストーリーに心温められた人たちは、クリスマスにこそ神の愛に応えなければと励ましを受けて、それぞれの帰路についた。
大阪府富田林市の南大阪福音教会では、クリスマスイブ前日の23日にも祝日を利用し、中高校生を中心としたジュニアクリスマス会が開催された。集まった子どもたちは、焼きたてのピザや、会堂のスクリーンを使用してのWiiパーティに大喜び。ゲストの中林大介伝道師(八尾南福音教会)がメッセージを語った。