米シカゴの教会が、不動産取引で得た収入の中から信徒一人当たりに500ドル(約5万9千円)を給付した。信徒たちはそのお金を、地域のさまざまなプログラムや取り組みに寄付している。
シカゴにあるラサール教会は9月、信徒一人ひとりに500ドルを手渡し、他の誰かを祝福するためにそのお金を使うよう強く勧めた。同教会のローラ・トゥルーアックス牧師によれば、信徒たちは確かにそのようにしたという。
今回の給付により、人々はその思いがあるところにお金を使うという、イエスが教えた福音の一部を学んだとトゥルーアックス牧師は話す。
「これらのことは深くつながっているのです」とトゥルーアックス牧師。「心とお金は完全につながっています。そのことを、最も分かりやすいところから見ているように感じます」と語った。
トゥルーアックス牧師は、給付した500ドルを使って信徒がしたことから、さまざまな体験談を明した。
ジャネット・ミルコビッチさんとジム・ミルコビッチさんの夫婦は、「ブレイクスルー・アーバン・フード・ミニストリーズ」の生鮮食品貯蔵室の取り組みに対して寄付をした。このミニストリーズは、高齢者を含む市内の多くの人々に健康的な食品を提供する働きをしている。
「素晴らしかったです」とジャネットさんは言う。「生鮮食品貯蔵室の責任者は、シカゴの西部にはここの生鮮食品に頼っているお年寄りが多数いて、品揃えにとても感謝されていると言っていました。その人々が健康的な食品を得られるよう約束するとのことです」
教会員の一人であるベティ・ミケルさんとその夫は、シカゴにある「バイ・ザ・ハンド」という学童保育を行う団体に寄付した。ミケルさん夫妻は、2人の500ドルの小切手をまとめて1000ドル(約11万8千円)の寄付金とし、さらに夫妻の財産から1000ドルを加えて、寄付を募っていた「バイ・ザ・ハンド」に贈った。夫妻の寄付金は最終的には4千ドル(約47万円)に上った。
「ご夫妻の500ドルの収入は、夫妻の手により倍になり、そしてさらに力強いなものとなったのです」とトゥルーアックス牧師。「今や2人は4千ドルをバイ・ザ・ハンドに寄付したのです」
トゥルーアックス牧師はまた、9歳の子どもに「惜しみなく与える」ということの見本を示そうとしている、あるシングルマザーについての話もした。彼女は子どもとリサイクルショップに行き、中古の児童書や絵本を購入してきれいにしたあと、低収入の人が住む地域にあるさまざまな図書館やプレスクールに寄付した。また2人は先月末には、地域の全てのホームレスの人のためにアイスクリームパーティーを開いた。
「私たちは毎週水曜日の夜に食事を出しており、これまでたくさんの人が教会にやってきました。しかし9歳のその子は、『いつになったらこの人たちはアイスクリームを食べられるの?』と言ったのです。2人は約150人分のアイスクリームを作りました」とトゥルーアックス牧師は語った。
信徒の中の別の一人は、祝福を広げるために海外へ目を向けた。ラサール教会の信徒であるエリック・ラーソンさんは、コートジボワール在住の宣教師である友人にそのお金を寄付した。家庭を追い出されたある女性のために使われるという。その女性は、感染症のために片方の脚を切断する必要があった。エリックさんは彼女に義足が必要であることを知り、またその義足の額に衝撃を受けた。
「義足の代金がちょうど500ドルであったことに彼は衝撃を受けたのです」とトゥルーアックス牧師。「そのため、エリックさんのお金は義足を必要とするコートジボワールのある女性に贈られました。でも、このことは神がなされたことですよね」と言う。
ラサール教会が信徒一人ひとりに500ドルを給付できたのは、不動産取引により160万ドル(約1億9千万円)の収入があったからだ。代金を受け取ったあと、教会はその10%を、誰かを祝福するために使うよう信徒たちに給付することを決めた。これは、イエスのタラントの例えにヒントを得たという。
「私は、教会にこれだけの贈り物がなされたことに衝撃を受け、またこのお金でもって神の御業として教会が何かをなす必要があると感じました。ですから10%というのは、私の考えではないのです。私はこのお金の用途について祈りつつこの例えを読んでいました。そして、このお金を使って他人を祝福するという行いが、会衆のみなさんにとって、信仰を現す場となるだろうとただ感じたのです」とトゥルーアックス牧師は語った。
ラサール教会は、残りの140万ドル(約1億6千万円)の用途をまだ決めていない。しかし、トゥルーアックス牧師は、それをただ保管しておくだけというのは魅力的なアイデアではないと話す。
「これは神の経済です。私たちはケチな人としてではなく、寛大な人として造られたのです」とトゥルーアックス牧師。「恐れを超えて行動することです。これがまさに今起こっていることなのです」