「どんでん返し」という言葉を聞いたことがあると思います。小説や映画のストーリー展開において、大方の予想を大きく裏切り、一旦終結したかに見えたストーリーを大きく覆した結末が用意されていることをいいます。
人生を長く生きていると、何度も「どんでん返し」を経験します。聖書は、「私の兄弟たち。さまざまな試練に会うときは、それをこの上もない喜びと思いなさい」(ヤコブ1:2)と語ります。「試練」は、「想定外の出来事」であり、「どんでん返し」です。「神を信じ、信心をし、善行をしていたら、悪いことは起きることはないはず!?」というのは、全く根拠のない楽観主義です。
聖書は、「どんでん返し」を教えます。しかも、単なる「どんでん返し」ではなく、「どんでん返し」の2連続です。イエス・キリストの「十字架」と「復活」の出来事は、「どんでん返し」が2回起こった出来事なのです。
イエス様は、キリスト教でいう神の御子であり、神ご自身です。罪を犯したことがないのに、なぜ十字架で処刑され、墓に葬られ、よみに下り、3日目に復活されたのでしょうか。キリストは全てご存じでした。キリストは、死ぬためにこの世に生まれたので、十字架の死は予定通りです。しかし、聖書を読む私たちには、「どんでん返し」です。
神は立法者です。最初、たった1つの法律を造られました。「エデンの園の中央にある善悪の知識の木の実を食べてはいけない。食べたら死ぬ」というものでした。アダムとエバは、たった1つの法律を破りました。たった1つの律法を破ったということは全てを破ったに等しいことです。結果、アダムとエバは「死刑」にならざるを得ませんでした。
しかし、神はアダムとエバを愛していました。何とか死刑を回避させたいと思いました。ここで、神が恩赦を出したり、罪を水に流したら、神の正義は曲げられ、立法者としての面目が立たなくなります。
神の出された結論は、法律を変えるのではなく、神自らがアダムとエバの身代わりに「死刑」となって、アダムとエバをゆるすことでした。神ご自身が、アダムとエバの身代わりに「死刑」になったのが、イエス・キリストの十字架です。
アダムとエバの罪のゆるしの中に、その子孫である私たち全人類の罪のゆるしも含まれています。しかし、罪のゆるしは自動的に私たちに与えられることはありません。信じることが必要です。「ありがとうございました」と受け取ることです。神はマインド・コントロールをして、求めてもいないのに無理やり人を救うことはないからです。
キリストは十字架で死なれ、墓に葬られ、よみに下りました。そこで終わったとしたら、人類は取り残されて寂しいです。しかし、キリストは、死を打ち破って「復活」されました。今も生きておられ、私たちと共におられます。
キリストの十字架の死を冷静に考えてみてください。まさに「どんでん返し」です。また、キリストが死を打ち破って復活されたことも「どんでん返し」です。聖書には、「どんでん返し」が2回連続して書かれています。
今日、ある人にとっては「どんでん返し」かもしれません。聖書は、あなたは神の前で罪人であると語ります。先祖であるアダムとエバの罪を受け継いでいるからです。しかし、その「どんでん返し」は、あなたに罪を教え、キリストの十字架と復活であなたの罪をゆるす次の「どんでん返し」のためにあるのです。
「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである」(ヨハネ3:16)
私たちの人生には「どんでん返し」が付きものです。しかし、「どんでん返し」は1度で終わりません。さらに「どんでん返し」が待っています。1回目の「どんでん返し」がマイナスの出来事だとしたら、もう1度来る「どんでん返し」は、マイナスがプラスに変わる「どんでん返し」です。マイナスの出来事はできれば起こってほしくないものですが、マイナスという「どんでん返し」とマイナスがプラスに変わる「どんでん返し」は、あなたの人生に刺激を与え、感動を与え、退屈を感じさせることはありません。
あなたは晴天の霹靂(へきれき)のように、あぜんとするような「どんでん返し」を味わっているでしょうか。心臓に良くないと思えるかもしれませんが、「どんでん返し」を楽しむ余裕が持てたらいいですね。その秘訣(ひけつ)は、「どんでん返し」の2連続を与えて下さる神に信頼し、神と共に歩むことです。
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菅野直基(かんの・なおき)
1971年東京都生まれ。新宿福興教会牧師。子ども公園伝道、路傍伝道、ホームレス救済伝道、買売春レスキュー・ミッション等、地域に根ざした宣教活動や、海外や国内での巡回伝道、各種聖会での讃美リードや奏楽、日本の津々浦々での冠婚葬祭の司式等、幅広く奉仕している。日本民族総福音化運動協議会理事。
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