1.岩を砕く花
アメリカのコロラド州に、春一番に咲く可憐な花、「サクシフラージュ」。この花の根は、岩の小さな裂け目に深く入って、そこに種を植え付けます。その種は、ものすごい力で生長して、岩を砕いてしまうのです。こうして岩の中から花を咲かせます。
「サクシフラージュ」は、英語では「ロック・ブレイカー」、日本語では「岩を砕く花」。
「岩のような難問題」に直面すると、「こんな難問を解決することは、とうてい不可能だ!」、誰でもこう思ってしまいます。常識ではそうかも知れません。でも、全能の父なる神に不可能なことは何もありません。「サクシフラージュ」がそれを証明しています。
父なる神は、あなたを「サクシフラージュ」にすることができます。神を信じれば、誰でも「ロック・ブレイカー」になれると、聖書の各所に書かれているからです。岩のような難問題によって砕かれてしまうのではなく、あなたは、「ロック・ブレイカー」になって、逆に、岩のような難問題を、砕いてしまうことができるのです。
2.奴隷解放
泣き叫ぶ母親の前で黒人の少女が競売にかけられていました。ニューオールリーンズの波止場で、奴隷売買市場の現場を目にした22歳のアブラハム・リンカーンは、アメリカの奴隷制度に対して、深い悲しみと激しい怒りを抱きました。「神の前の自由と平等に反する奴隷制度は、絶対に廃止しなければならない!」と固く決心しました。
リンカーンはイリノイ州議員選挙に出て、25歳で政治家になりました。法律を勉強して、28歳で弁護士になりました。奴隷解放に生涯をかけたリンカーンは、弁護士の仕事をしながら政治家として活躍しました。数々の落選、失業、失恋の試練を体験しました。何度も神経衰弱になり、自殺寸前まで追い込まれました。正義感が強かったため、一時は政界を追われ、再起不能とまで言われました。けれども、最後まであきらめず初志を貫き、51歳の時、第16代アメリカ大統領になりました。
奴隷解放の是非は、アメリカを二分する南北戦争にまで発展しました。当初の戦況は、奴隷制度擁護派の南軍の圧倒的勝利で進行していましたが、奴隷解放派の北軍を指導したリンカーンは、これを一挙に逆転しました。こうして、ついに決心後30年目にして、リンカーンは念願の奴隷解放を実現したのです。
3. 神のことばのハンマー
リンカーンを動かした力は神の力です。その力は聖書のことばから生みだされるものです。
「主は仰せられる、わたしの言葉は火のようではないか。また岩を打ち砕く槌のようではないか」(エレミヤ書23章29節)
そうです、神のことばは、「岩を打ち砕くハンマー」なのです。神のことばは、種としてあなたの心に播かれると、ものすごい勢いで生長していきます。神のことばは、数々の試練と共に生長して、あなたの「岩のようにかたくなな心」を、内側から砕いていくのです。
かたくなな肉なる心が砕かれると、あなたと神との霊的な一体化が強まり、あなたは、いかなる時にも神を信頼し、どんな状況でも神を賛美することができるようになります。そうすると神は、「難問題という大きな岩」の小さな裂け目に、あなたを種として植えつけます。あなたの内側に聖書のことばによって働く神の力は、そこでさらに大きく生長して、ついには「難問題という大きな岩」を砕いてしまうのです。
リンカーンは、生涯にわたって日々聖書を読み、どんな時にも神に祈りました。数々の試練を通して、リンカーンの外なる人は徹底的に砕かれました。同時に、彼の内なる信仰は、猛烈な勢いで生長していきました。そして彼自身が最も強固な「ロック・ブレイカー」となって、奴隷制度という大きな岩を、粉々に砕いてしまったのです。
問題はリンカーンを砕こうとしましたが、彼は逆に問題を打ち砕いてしまいました。そこには「アメリカの奴隷解放」という、世界の歴史の中でも最も美しい「サクシフラージュ」の花のひとつが咲いたのです。
いかなる難問題に対しても、神のことばを信じて、これをたたきつづけましょう。あなたはいろいろな試練や困難に会うことでしょう。あなた自身が徹底的に砕かれましょう。それでも、難問題をたたきつづけましょう。そうすればいつか必ず、解決の門が開かれます。
初めはびくともしない大岩も、神のことばのハンマーでたたきつづけていくうちに、すなわち、あなたが体当たりでぶつかっていくうちに、次第に内側にひび割れが生じてきます。なおもたたきつづけていくと、神の時が来て、一挙に砕かれてしまいます。そうすると砕かれた岩から、神の恵みが豊かにあふれ出てくるのです。
―「人よ、何が善であり、主が何をお前に求めておられるかは、お前に告げられている。正義を行い、慈しみを愛し、へりくだって神と共に歩むこと、これである」(ミカ6章8節)
―「見よ、わたしはホレブの岩の上であなたの前に立つであろう。あなたは岩を打ちなさい。水がそれから出て、民はそれを飲むことができる」(出エジプト17章6節)
―「私は、私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできるのです」(ピリピ4章13節)
―「聖書は神が人間に賜った最もすばらしい賜物である。人間にとって望ましいものはすべて聖書にある」(アブラハム・リンカーン)
佐々木満男(ささき・みつお)
国際弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。インターナショナルVIPクラブ(東京大学)顧問、ラブ・クリエーション(創造科学普及運動)会長。
■外部リンク:【ブログ】アブラハムささきの「ドントウォリー!」