ところが、一回笑うと二百個の癌細胞が死滅するそうです。笑いによって体内に免疫ホルモン、エンドルフィンやドーパミンが生み出されて、癌を抑制するのです。NK(ナチュラルキラー)細胞の増殖も確認されています。四千個の癌細胞を死滅させるためには、何回笑えばよいのでしょうか。そうです、二十回ですね。ですから心身の健康のためにも、「少なくとも一日二十回は笑うようにする」とよいのです。まさに、「笑う門には福来たる」です。
「いつも主にあって喜びなさい。繰り返して言うが、喜びなさい!」
こう言って、パウロは獄中から、獄の外に入る仲間たちを励ましました。いつ死ぬかもしれない状況の中で、パウロはイエスと共にいる喜びを体験していたのです。聖書はあなたに、「いつも喜べ!」と繰り返し強調しています。
そもそも「福音」とは、「大いなる喜びのおとずれ」、「とてつもなくうれしいニュース」ということです。「イエスを信じるだけで神の永遠のいのちに生かされていく。やがて朽ちることのない最高、最善、最美の復活の体をいただき、すばらしい神の国で最愛なる方と永遠に楽しく生きていけるんだ!」というのが福音です。もう、うれしくてうれしくて、毎日朝から晩まで、笑い続けても足りないほどの、喜ばしいニュースなのです。
今あなたが抱えている問題は、どれほど難しい問題でしょうか。「とても苦しくて悲しくて、笑うなんてとんでもない!」という深刻な問題かもしれません。
でもそんな時こそ、問題から思いをそらして、聖書の原点に立ち返るべきです。祈りに祈って福音の真価をもっともっと深く知る良いチャンスです。最愛なる方「イエス」のすばらしさを、もっともっと深く体験する絶好のチャンスなのです。そうすれば、尽きることのない喜びが心の底から湧き起こってきます。喜びは笑いとなり、笑いは感染し、人々を喜びで満たし、人々の生きる力となっていくのです。やがて、あなたにとって、「どんな問題も、もはや問題ではなくなってしまう」ことでしょう。
「聖書は神が人間に賜った最高のプレゼントである。人間にとってすべての望ましいものは聖書にある」。こう言って、生涯の日々熱心に聖書を読んで祈り続けたのは、アメリカの奴隷解放を実現した、リンカーン大統領です。あの南北戦争の真っ最中、特に北軍側が不利な時に、リンカーン大統領はよくジョークを言って将軍たちを笑わせたそうです。「この重大な時期に冗談など言って笑うのは、不謹慎ではありませんか!」という部下の批判に対して、「事態が深刻であればあるほど、緊張をほぐすために、笑いが必要なのだ。私は緊張のあまり死にそうなのだ!」と答えたそうです。極度の緊張の中で、笑いによって自分と部下をリラックスさせ、イエスのもとに立ち返り、全力を尽くして戦ったのです。
深刻な問題に対して緊張しすぎると、硬直した判断しかできなくなります。物事の否定的な一面しか見えなくなり、全体を見て総合的な判断をしたり、新しい角度から考えたりすることができにくくなります。冗談が言えるということは、同じ物事を自由な視点から見ていることです。物の見方に柔軟性があるのです。笑うことによって緊張がほぐれ、一つの問題をいろいろな角度から見ることができるようになります。そうすると、さまざまな困難を越えて、問題を解決する名案が生まれてくるのです。こうして、全力を尽くして問題に取り組むことができるようになります。
イギリスのチャーチル首相は、議会で野党から問い詰められて返事に窮しても、彼独特のユーモアで議場を笑わせ、彼の政策を実現していったそうです。
今回の大災害の救援と復興のために、外国から秋田に運ばれる大量の物資を被災地に配送する後方支援のお手伝いをすることになりました。秋田の教会と牧師を中心とする実行委員会の一員として、私は国際的な問題処理のために参画しました。数百トンという大量の飲料水を運びこむとか、大がかりなアメリカ製仮設住宅を持ち込むとか、いろいろな可能性が検討されました。
秋田の拠点となる教会に集合してスカイプで話しあった時に、アメリカの支援者チームから面白い提案がありました。彼らは、日本の大災害救援復旧のために「チャリティー・ファッションショー」を行うと言うのです。そこにクリントン元大統領夫妻、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーのCEO夫妻、有名スター、芸能人たち多数を招待して募金を呼びかけるのだと言います。日本側としてはあまりにも奇想天外なアイデアなので、初めはピンときませんでした。でもよく考えてみると、ありきたりの募金活動でない、新しい発想なのだとわかり、大笑いしました。
韓国の学者の調査によると、韓国の子どもは一日平均「400回」笑うそうです。大人はとなると、なんと、たったの「6回」しか笑わないそうです。単純計算すると、人生80年として、韓国の人たちが一生の間に笑う時間は、合計「22時間半」なのです。「一生に笑う時間が一日24時間に満たない!」というのは、実に驚きです。日本人と韓国人は国民性が違うにしても、笑う回数はそれほど変わらないのではないでしょうか。私たちは「もっともっと笑わなければいけない」と思いました。「万歩計」だけでなく、「万笑計」も必要ではないでしょうか!
ある会社の社長が、共同事業に失敗し、事業の相手から裁判を起こされて、意気消沈していました。負ければ会社も自分も破産に追い込まれる危機に直面して、死ぬほど悩んでいたようです。相手からの訴状には、弁護士が三人も名前を連ねています。社長はお金がないので、弁護士を雇えません。
「うちの社長、人がよすぎて、いつも騙されてばかりいるんですよ!」 一緒に相談にきた社長の運転手さんが、こう言って嘆いていました。話を聞いてみると、社長は百%善意で、相手は百%悪意です。
「この裁判おかしいですよ! 社長が相手を訴えるべきケースじゃないですか!」 あまりにもおかしくて、私は思わず、「ワッハッハッハ!」と大声で笑ってしまいました。
「そうですよね! 私もどうもおかしいと思っていたんです。これって、どう考えても、逆ですよね!」 気持ちがほぐれて、社長も笑いだしました。事業失敗という深刻な事態に緊張するあまり、だれの責任なのかを正しく判断できなかったのです。
「社長、そうですよ! 社長はぜんぜん悪くないのに、悪い相手から訴えられてしょげてるんですよ! しっかりしてくださいよ。私の生活もかかっているんですから!」 今度は運転手さんも笑い出しました。
「これ、弁護士がいなくても、本人訴訟でやってみたらどうですか。きっと勝てますよ!」ということで、私がボランティアで少しお手伝いして、社長本人が法廷で闘うことになりました。
勢いずいて、その場で訴訟の準備が始まりました。三人でゲラゲラ笑いながら、深刻な裁判の準備をしていたら、アッという間に夜が明けてしまいました。生まれて初めての裁判で、社長は一人で法廷に立ち、3人の弁護士を相手に戦いました。
「私が本当のことを言うもんですから、裁判官も味方してくれて、相手の弁護士たちはしどろもどろでした! 裁判っておもしろいですねぇ。いやぁ、こんなに楽しいもんだとは、思いませんでした」
毎回法廷の後で、社長の報告を聞いて、三人で大笑いしていました。もちろん裁判ですから、こちらに不利な証拠もたくさんありますが、冗談言って笑っているうちにどんどん名案がわいてきて、すばらしい反論ができるようになりました。こちら側がとても面白そうにしているので、相手側の関係者たちまでもが、こちらの味方になり始めました。
実に、笑いは問題解決の最強の手段の一つなのです!
佐々木満男(ささき・みつお)
国際弁護士。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。インターナショナルVIPクラブ(東京大学)顧問、ラブ・クリエーション(創造科学普及運動)会長。
■外部リンク:【ブログ】アブラハムささきの「ドントウォリー!」