わたしを愛しますか
ヨハネの福音書21章15~19節
[1]序
前回私たちはルカの福音書22章54~62節に描く場面を味わいました。あの記事を心に覚えながら、今回は特別にヨハネの福音書21章15~19節を通して、主イエスとペテロの関係に焦点を合わせていきます。
[2]主イエスとペテロの関係
(1)主イエスとペテロの関係
①主イエスのペテロへの関係
ルカ22章32節、恵みの先手・先行的恵み。
②ペテロの主イエスへの関係
主イエスの愛に答えて、主イエスに死に至るまでペテロらしく従う。人は生きるように死ぬ。ペテロの生活・生涯そして死(ヘブル13章7、17節)。
(2)主イエスにある、ペテロと人々との関係
主イエスのペテロに対するご命令・ご意志に従う使命を果たし続ける生活・生涯。
①ペテロの主イエスに対する愛は、人々への愛→主イエスの愛するものをペテロも愛する。
②「わたしの小羊を飼いなさい」、「わたしの羊を牧しなさい」、「わたしの羊を飼いなさい」。羊は、主イエスご自身のもの(詩篇100篇)。私の教会、私たちの教会と言う前に、教会は主イエスご自身のもの(マタイ16章18節)。
[3]ヨハネ21章15~19節の理解のため助けとなる二つの箇所
(1)ヨハネ10章11、14節
①「わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます」(ヨハネ10章11節)
②「わたしは良い牧者です。わたしはわたしのものを知っています。また、わたしのものは、わたしを知っています」(ヨハネ10章14節)
(2)Ⅰペテロ5章1節以下
①共同牧会
「同じく長老のひとり」、複数の牧会者の協力。
②「神に従って、自分から進んで」「心を込めて」「群れの模範」←→「強制されて」「卑しい利得を求める心から」「その割り当てられている人たちを支配する」
③若い人々
「同じように、若い人たちよ」、次の世代への継承。
[4]結び
(1)大牧会者主イエス
良い牧者主イエス(ヨハネ10章11、14節)にペテロは生涯を通して従い、主イエスの働き人として仕え生きる。Ⅰペテロ2章25節、5章4節。
(2)主イエスへの愛
①主イエスがまず
ロ-マ5章8~11節。罪の赦しと主イエスへの愛、ルカ7章36~50節。特に47節、「だから、わたしは『この女の多くの罪は赦されている』と言います。それは彼女がよけい愛したからです。しかし少ししか赦されない者は、少ししか愛しません」。
②主イエスに愛され主イエスを愛する者としての応答
マタイ26章6~13節、ナルドの香油を主イエスの足元に献げる女に対しての二つの評価。「何のために、こんなむだなことをするのか」(8節)←→「わたしに対してりっぱなことをしてくれたのです」(10節)
ローマ12章12節、「そういうわけですから、兄弟たち。私は、神のあわれみのゆえに、あなたがたにお願いします。あなたがたのからだを、神に受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげなさい。それこそ、あなたがたの霊的な礼拝です」。
③「初めの愛」を最後まで
黙示録2章4~7節。聖歌601番。私たちの全生活・全生涯が主イエスへの愛の現れとして。これこそ私たちの礼拝の生活。Ⅰコリント15章58節、「ですから、私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだでないことを知っているのですから」。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。