人気作家村上春樹さんの新刊本の売れ行きなどを見ると、人間は単に飲み食いだけでなく、意味のある言葉を求めていると感じさせられます。そして、私たちには、時代、場所、人種を越え、すべての人に祝福を与える神からの言葉があることに感謝しましょう。神の言葉そのものである、イエス・キリストがこの世に来られ、私たちの罪を背負って十字架で死に、よみがえられたのです。
しかし二千年前であっても、高度に発達した文化や思想を持っていた当時の人々にとって、イエスのよみがえりについてのとらえ方は様々でした。弟子たちにもまだ全体像がわからない状態でした。それについてルカは、福音書の締めくくりで、はっきりと伝えようとしました。
1.イエスの復活は肉体を伴ったもの
復活のイエスを目撃した弟子たちは、「霊を見ている」と思ったのです。霊的なもの、超常現象ではないかと思ったのでした。それに対してイエスは、「わたしの手やわたしの足を見なさい。…霊ならこんな肉や骨はありません」と語られ、ご自身を示されました。別の箇所でトマスには、「わたしの手を見なさい。手を伸ばして、わたしのわきに差し入れなさい」と言われています。
聖書の語るイエスのよみがえりは、単なる霊的な現象ではなく、肉体を伴うものであったことがわかります。
2.イエスの復活の力は現実生活に及ぶ
さらに、復活されたイエスの体は、手や足があっただけでなく、聖書に書かれているように、魚を召し上がったという、現実の生活に及ぶものでした。
イエスの復活は、肉体的・感覚的に、見えて聞こえて触れるだけでなく、私たちの現実の世界の営みの中に確かに起こった事実だということです。
3.イエスの復活は私たちに影響を及ぼす
この後、48~49節には、「あなたがたは、これらのことの証人です。…あなたがたは、いと高き所から力を着せられるまでは、都にとどまっていなさい」と、イエスは言われました。これは、使徒行伝の聖霊降臨を意味し、上からの力とは聖霊の力のことです。
イエスの復活は、悟りや心理的なことではなく、本当に弟子たちに力を与え、彼らを変え、伝道の世界へと遣わす、現実的な力をくださったのです。イエスの復活と聖霊降臨により、それまでの歴史の中に存在しなかった「教会」が誕生しました。そして、地の果てにまで福音が伝えられ、パレスチナの片田舎の出来事が世界中に広がり、私たちの生きる21世紀の世界にまで影響を及ぼしているのです。
聖書の話は、単なる慰めではなく、具体的な現実の生活に直接作用を及ぼし、私たちの存在そのものに関わるものです。イエスの復活と救いは、霊的な面だけでなく、肉体にも及びます。だから、私たちの肉体の病いも癒されて当然なのです。
イエスの復活の恵みは、私たちの存在すべてに及びます。私たちの心の罪が赦されるだけでなく、人生が永遠の命に向かって救われてゆきます。イエスの救いの力で生かされ元気にされて、私たちは主の証し人として、ますます用いられていくのです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。