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第一の敗戦と第二の敗戦(2)

2012年2月13日00時08分
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~悲しみが経済的繁栄にすり替えられた第一の敗戦~

 昨年3月11日の東日本大震災後の被災地の様子について、戦争に生き残った者の感覚として渡辺氏は「津波の跡を見て、『まるで戦場だ』」と直感したという。渡辺氏は東日本大震災を「第二の敗戦」であるとし、「第一と第二の敗戦において『死と破壊』の扱われ方に違いがあることに注目しなければなりません。第一の敗戦では、国家によって無造作に戦争で死に追いやられました。遺体の多くは、海中や戦場に置き去りにされました。遺族はその悲しみにひたすら耐えるという場合がほとんどでした。その後朝鮮戦争が始まった特需によって、経済的に潤い初め、その次に高度成長期に入り、金銭的に豊かになってきたこともあり、国家が戦死者を英霊と讃え、金銭で補償することで遺族はとりあえずは満足しました。そして『戦没者の犠牲によって戦後の日本の繁栄が来た』というキャッチフレーズが広く日本に流布されるようになりましたが、この宣伝文句が最も効果的に作用し、戦争で愛する者を失った悲しみが経済成長の満足にすり替えられてしまいました」と指摘した。

 戦争の悲しみが経済成長の満足にすり替えられたことについて渡辺氏は、「戦前の軍事費優先、人民の生活費の圧迫と言う政策の下での貧しさと比べて、戦後の豊かさに伴う人間らしさの回復を喜ばざるを得なかったのです。高度成長期に日本の軍事政策によって苦難を受けたアジアの各国は貧困から脱却しておらず、日本の繁栄とアジア各国の経済格差に気づくアジア人はたくさんいました。しかし近年、日本が円高不況に苦しむ時代になりました。経済の豊かさに重点を置き過ぎ、得意になっていた哀れさに気づく日本人がだんだん増えてきました。第二の敗戦が始まりました。第二の敗戦は、3月11日の一日で終わったのではありません。まだ続いています。もっと深刻になっていくかもしれません」と述べた。

 一方で第二の敗戦について「死の悲しみにまともに向かい合うことを妨げられない状態になりました。このことは、良く目を留めておく必要があります。大津波による多数の死者の前で、人々は悲しみを悲しみとして受け止めてこらえる他はありませんでした。それが幸いであったと言ってはなりませんが、『悲しみを悲しみでないものにすりかえるごまかし』がなかったということは大事なことだったと思います。悲しむ人はもっと悲しめば良いということになるのではなく、『幸いなるかな悲しむ者。その人は慰められん』と書かれてあるように、悲しむ人に慰めを届けなければなりません。金銭や物品で代用されたり、言葉としての慰めではなく、悲しみを分かって、一緒に悲しみを担ってくれる人が必要です」と述べた。

~悲しみが他のものにすりかえられていない第二の敗戦~

 渡辺氏は第一の敗戦では悲しみが金銭的繁栄にすり替えられ、問題の本質が隠されるようにされてしまったことに比べ、第二の敗戦では「悲しみを悲しみでないものにすり替えようとする試みを誰もしていないことがせめてもの慰めです。悲しみを克服するために高次元のものを求めようとして、悲しみを知っている人は心の深いところで慰めることができるように、国家の介在なしに人間の死が人間の死として尊厳を保つ本来の扱われ方に戻りました」と指摘した。

 またボランティアの使命として「仕えられることを求めるのではなく、ひたすら仕えることを求めてこそボランティアとしての意味があります。ボランティアで仕えることよりもボランティアを実行する人の自己実現の満足のためになされていることもあります。このような力がまとまったときには、社会を破壊することにもなりかねません」と注意を促した。一方で大組織の機能不全の問題についても指摘し、「こういう精神的問題に取り組んでいかなければなりません。組織の改革は組織を扱っている人に任せておくのではなく、一人一人人間がどのようにして生きていくのか、仕えていくのかということを掘り起こしていかなければなりません」と訴えた。

 東日本大震災による原発による被害について、渡辺氏は「大震災に伴って起こった原子力発電の災害はわからないから決着は先送りしようとせず、決断を急がなければなりません」と述べ、自身が戦後平和運動に関与し、原子力平和利用キャンペーンが起こってきたときに、反対したものの、「平和利用」という美名に惑わされて、反対運動の気力が鈍り、他の運動に力を入れるようになっていった経緯があったことを証しした。渡辺氏は当時を振り返り、「原子力利用と平和が矛盾するということを見抜くだけの知恵がありませんでした。津波と原発の被害を通じ、第一の敗戦で自分自身をごまかした不正に気付いていましたが、第二の敗戦でも自分自身へのごまかしがあった事に気づかされました。まだごまかしの一部しか見えていないと思います」と述べた。

 第二の敗戦をきちんと考えるときに、第一の敗戦の時の敗戦処理のいいかげんさの継続があることを考えさせられるという。第二の敗戦では「社会全体のつながり、困っている人がいても、その人の緊迫状態が分からないようにしている社会になっているということにようやく気がついてきました。隣人がいても、その人が隣人であるという事が見えない。誰が隣人かを捜しているかぎり、そういう人は見えてきません。どの人が隣人を尋ねるのではなく、『私が隣人になる』という道があるということがわかれば、かなり物が見えてくるのではないでしょうか」と呼びかけた。

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渡辺信夫(わたなべ・のぶお)氏
略歴 1923年 大阪府に生まれる。京都大学文学部哲学科卒業。文学博士(京都大学)。
1949年、伝道者となる。1958年、東京都世田谷区で開拓伝道を開始。日本キリスト教会東京告白教会を建設。2011年5月まで日本キリスト教会東京告白教会牧師。以後、日本キリスト教会牧師として諸教会に奉仕している。

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