主は生きておられる
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主は生きておられる(191)憐れまれ 平林けい子
主のご計画でこの世に生を受けた。神を神とも知らず、罪を罪とも知らず、罪の中をいっぱい罪を犯して歩んでいた。永遠の滅びの淵に落とされて当然の者。主の憐(あわ)れみで、今生かされている。
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主は生きておられる(190)前と後 平林けい子
聴力がなくなった95歳の夫、介護する87歳の妻。イエス様また腹が立ちました、腹を横にしてくださいと何度言ったことか。夫の入院後変わった。妻である私は不思議にも夫の介護に腹が立たなくなった。
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主は生きておられる(189)空は言った 平林けい子
さあ、言ってごらん。心のうちの重いこと、心のうちの悲しいこと、心のうちのつらいこと。空を見上げる。コバルト色の、どこまでも続く空。手が伸びて、私を抱きかかえてくださる。私は空に吸い込まれる。空を見られる感謝。
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主は生きておられる(188)主に応えるすべ 平林けい子
生まれる前からの大きな計画のうちに、この地上に誕生。神を神とも知らず、罪を罪とも知らず、罪の中をいっぱい、罪を犯して大きな顔で歩んでいた私。永遠の滅びの淵に落ちるべきものを、主の憐(あわ)れみで救われた。
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主は生きておられる(187)補聴器 平林けい子
高齢ゆえに耳が聞こえにくい。長い間働いてくれてありがとう。補聴器を勧められる。うかつな私は、すぐなくしてしまいそう。生きるかぎり人と交わりたい。買うべきか、買わざるべきか。
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主は生きておられる(186)吸い込まれそう 平林けい子
タン、タン、タンタン。ラジオ体操が始まった。常連の高齢者たち。私も思い切り上に手を伸ばす。見上げる空、なんと美しい、雲一つないコバルト色。体を動かすのを一瞬忘れる。吸い込まれるよう。
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主は生きておられる(185)ラジオ体操 平林けい子
タン・タン・タン・タン。秋空を見上げて、秋の空気をいっぱい吸い込んでかがんだ手足を広げる。ラジオ体操を初めてしたのは国民学校1年生の時。先生の体操をまねた。同じNHKのラジオ体操、80年前と同じことをするのはこの体操くらい。
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主は生きておられる(184)敬老の日 平林けい子
敬老の日、社会で貢献した老人を褒めたたえる日として出発した日。私にとっては、87年の人生を振り返る日。子ども時代、青春時代、逆境の中年時代、高齢と呼ばれる時代、後期高齢者時代。さまざまの力がなくなる寂しさ、悲しさ。
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主は生きておられる(183)朝の風 平林けい子
おはよう。窓を開ける。朝の風が、ほほをなでる。少し冷たい、朝風。まだねむそうな朝風。内気な朝風、青色の朝風。青は未成熟、新米かな。それゆえに先が楽しみ。今日はどんな日になるのか。
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主は生きておられる(182)背負う 平林けい子
この女性の背中には、おしゃれなリュック。あの男性の背中には、家族を背負う黒いリュック。見るからに重たそうなそうな中高生のリュック。私が背負ったのは、子ども時代の遠足にかかせなかったリュックサック。
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主は生きておられる(181)影法師と私 平林けい子
あまりの暑さで、どんな人も外を歩いていない。歩いているのは、影法師だけ。おや、若いぴちぴちのお嬢さんかな。影法師の中身を知っておられるのはイエス様。実は私です。
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主は生きておられる(180)私は路面電車 平林けい子
日を重ねるごとに老いを知る。今日は曇り空。道行く人の足はいつもより重たそう。路面電車の私は、新しい朝を迎え、ゆっくり、ゆっくり出発進行。おや、新幹線の息子もスタートした。起きてから寝るまで、何をしてもはやい、はやい。
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主は生きておられる(179)色のある世界 平林けい子
新緑の美しさに立ち止まる。3年前、膝の手術後、私は暗闇の世界に生かされた。朝昼夜、人はみな暗闇の世界に生きていると思っていた。食事もとらず、誰とも話したくなかった。ついに、精神科医の診断を受けた。ふしぎ、不思議。色のあるこの世界に戻った。
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主は生きておられる(178)新しい蛇口 平林けい子
高齢のため水を出すと止め忘れる夫のため、蛇口を変えてもらった。手を近づければ自然に水が出て止まる、ホテルにあるような蛇口。取り換えは長年の私の夢だった。手を出せば、待っていたかのように水が出る。新しい蛇口は、主の恵みと同じ。
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主は生きておられる(177)スズランが咲いた 平林けい子
庭掃除の折、雑草と一緒に抜かれたと思っていたスズランが、久しぶりに1輪咲いた。うれしかった。なくなったと思っていたものが、あったのだ。翌日2輪咲いた。その翌日3輪咲いた。今日は11輪も。
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主は生きておられる(176)息づかい 平林けい子
夜中 耳をすます。超高齢の、夫の静かな息づかい。献血に行ってきた息子の力強い息づかい。愛猫の小さな息づかい。「主は大地のチリで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた」
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主は生きておられる(175)温泉の湯のように 平林けい子
あたたかい布団、あたたかい毛布の中に身を横にしているとき、生きていることの喜びと感謝が、温泉の湯のようにフツフツと心のそこから湧き上がってくる。眠っている間も守られる主は、今日一日も共にいてくださる。
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主は生きておられる(174)朝ごとに 平林けい子
「今夜かもしれない」。94歳の夫は言った。「今夜かもしれないわね」。天国への引っ越しを待つ夫。「朝が来たよ、おはよう!」寝ぼけまなこの夫。こんな朝を、なんど迎えただろう。
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主は生きておられる(173)もう春ですよ 平林けい子
昨日は4月の陽気、オーバ―をかかえて歩いた。すずめもうれしそうに飛び回った。今日はまた冬に逆戻り。ああ寒い、寒い。猫は布団にもぐりこんだ。三寒四温、これでふつう。でも春はもう来ている。
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主は生きておられる(172)新しい手帳 平林けい子
新しい年度の新しい手帳を開く。この手帳に、どんな予定が書かれ、どんな祈りが書かれ続けていくのだろう。「恵み」を与えようと待ってくださる主。一冊の新しい手帳を前にして、私の心は大空のように、大きく大きく広がっていく。
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