[著者]ワイン・ク−プ
(大江信訳)
[出版]福音文書刊行会
[大きさ・頁数]B6・200ページ
[価格]1,200円
[評者]小出 忍
ホーリネスの群教会連合初代委員長・元東京聖書学校校長・ウェスレアン・ホーリネス神学院初代学院長
ワインクープ博士は、シカゴのノーザン・バプテスト神学校で学位をとられたあと、宣教師として日本に派遣され、ナザレン神学校長として教鞭をとられたすぐれた女性学者です。
著者は、本書において、歴史的カルヴィニズムとアルミニアニズムの間には、それぞれの前提とする理念において根本的な相違のあることを指摘し、両者の「予定」と「ホーリネス」の教理との間にあるギャップを見事な筆致で叙述しています。
アウグスチヌスは<個人的予定の教理>から、救いの主原因を神の予定であるとしました
。それを受けたカルビンは<キリスト教綱要>で、救われる者と滅び行く者とは、あらかじめ神により二重に予定されているとします。
その後を継いだべザは、堕落前予定説を立て、救われるためには罪を犯さなければならない、すなわち、堕落は救いの予定に先行するとして、神の予定を強調します。
これに対し、オランダの一信徒コナルンヘールトは「これは罪の起源を神に帰するものである」と批判。この弁馭に立てられたアルミニウスも、結局聖書の立場は、アルグスチヌス−カルビン−べザの予定説を承認するものではないとして斥けるのです。
勿論、強調点はウェスレーの「聖化」と「信仰の確証」の教理であり、読みやすく、多くの点で目開かれる思いをするでしょう。
EPA図書紹介(1992年10月10日発行、福音文書刊行会)より転載