世界で最も古いキリスト教国家(紀元301年に国教化)としての歴史を持つ、コーカサス地方の国アルメニア。国民の9割以上が独自の伝統を誇る「アルメニア使徒教会(東方諸教会に属する独立教会)」に属しており、キリスト教の信仰は彼らの民族的アイデンティティーと深く結び付いている。
しかし、何世紀にもわたる形式的な宗教伝統の影で、福音の生きた力を知らないまま、経済的な困難や家族の離散による深い傷を抱えている人々も少なくないのだ。そんな中、福音派団体の主催する子ども向けのバイブルキャンプに参加した少女の証しを紹介したい。
ザベル(仮名)は、母親、叔母、そして祖母という女性ばかりの家庭で育った。彼女には兄弟姉妹がおらず、父親の顔も知らない。彼女がごく幼い頃に父親は家を出ていき、二度と戻らなかったのだ。
いつしか彼女は「自分のせいで父親は戻ってこないのではないか。私は父親に捨てられた」と思うようになり、言い知れぬ罪悪感と不安を抱えるようになってしまった。
「キャンプに行く前の私は、お母さんの言うことを全く聞かない子どもでした」と彼女は振り返る。「よくうそをついていたし、とても反抗的でした。お父さんの話をしたり、兄弟姉妹と一緒に遊んだりしている他の子どもたちを見ると、いつも嫉妬で心が苦しかったです」
そんな彼女に転機が訪れたのは、2025年のことだった。現地のミニストリー・リーダーたちが主催する子ども向けのサマーキャンプに初めて参加したのだ。そこで彼女は、イエス・キリストの愛、そして平和に生きるための神のルールについて学んだ。
このキャンプは、ザベルに全く新しい人生を与えた。彼女はそこで出会った新しい友達を「本当の兄弟姉妹のよう」だと語る。何よりも驚くべきは、彼女の内面の劇的な変化だ。
「今では、お母さんを尊敬し、言うことを聞いています。うそをつきそうになったときは、ぐっと口をつぐんで黙るようにしています。うそをつかないこと、怒らないこと、そして心の中に平安があることがどれほど素晴らしいことか、友達にも伝えているんです。生まれて初めて、こんなに幸せな気持ちを味わっています。本当に素晴らしいです」
父親の不在による心の空白と罪悪感は、今や完全な愛で満たされている。「私には地上の父親はいませんが、困難を乗り越えるのを助けてくれる『天のお父様』がいます」と彼女は力強く語る。「私は毎日たくさん祈っています。天のお父様は、絶対に私を見捨てません」
聖書は言う。「みなしごの父やもめのためのさばき人は聖なる住まいにおられる神」(詩篇68:5)
今やザベルは御子イエスの尊い血の代価という正式な手続きを経て、決して見捨てず見離さない「天上の父」の子どもとなったのだ。あなたは今どうだろうか。何かしらの事情で、父親あるいは母親との関係がうまくいっていないことがあるだろうか。しかし、どうか知ってほしい。もしあなたが心を開きさえすれば、天の父はいつでもあなたをご自分の子どもとして受け入れてくれる「真の父」であることを。
アルメニアのために祈ろう。ザベルのように、家庭の崩壊や父親の不在によって心に深い傷を負っている子どもたちが、現地の教会の働きを通して「天の父」の完全な愛に出会うことができるように。
献身的な現地ミニストリーを通して、次世代の子どもたちに豊かな福音の種がまかれるように。そして、変えられた人生の証しが、家族や友人たちへと波及し、福音が豊かな実りをもたらすよう、祈っていただきたい。
■ アルメニアの宗教人口
アルメニア使徒教会 94・4%
無宗教・その他 約5・6%
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