人工知能(AI)を利用した聖書チャットボットの神学的偏りに関する研究論文が発表され、研究に関連するワークショップが1月、英ケンブリッジ大学神学部で開催された。ワークショップには、神学者や教会指導者、AI専門家らが参加し、聖書チャットボットが人々の神学的理解に及ぼす影響について幾つかの懸念が示された。
「AI、聖書アプリ、神学的偏り」(英語)として論文にまとめられたこの研究では、主要な4つの聖書チャットボット(バイブルGPT、クロストーク、ビブリアチャット、バイブルチャット、いずれも英語)に加え、比較対象としてチャットGPTを用い、一般的な神学的・聖書的質問を投げかけ、その応答を検証した。
その結果、これらの普及している聖書チャットボットは、キリスト教の多様な伝統を反映するのではなく、狭い神学的見解、特に米国の福音派のアプローチを反映したものを提示することが多いことが示唆された。
専門家らは、こうした偏りがしばしば何の留保もなく提示されるため、ユーザーは別の解釈が存在することを認識できないと警告する。
多くの回答は明快で分かりやすく、牧会的な口調であるものの、常に一つの解釈的アプローチを決定的なものと位置付け、聖書の歴史的、サクラメント的、または伝統に基づいた解釈にはほとんど言及していなかったという。
ワークショップの講演者らは、AIの提示する回答のスピードと断定性が、人々の聖書本文へのより深い関心を阻害する可能性があると指摘した。単純化された回答は、キリスト教神学を伝統的に形作ってきた、より緩やかで、より熟考的な研究と解釈のプロセスに取って代わる危険性があるとしている。
論文の執筆者の一人である神学とテクノロジーが専門のヨナス・クルベリ博士は、聖書読解のためのAIツールが急速に普及しており、精査が不可欠になっていると述べた。
クルベリ氏は、既に数百万のユーザーが霊的導きを求めてAIを利用している現状を踏まえ、AIは、人々が聖書にどのようにアクセスするかだけでなく、人々が聖書の権威や意味をどう理解するかにも影響を与えていると警告した。
また、AIの回答は、中立的または事実に基づいたものと見なされやすく、ユーザーがそれらを批判的に検討する可能性が低くなるため、聖書チャットボットに見られる偏りは特に重大な問題だと述べた。
その一方で、研究者らは、聖書チャットボットが提示する回答の肯定的な側面も認めている。
回答の多くは、牧会的な口調を採用しており、慈愛、恵み、神の愛を強調するものだった。中には、安心感を与え、感情的なサポートを提供するものもあり、こうしたツールが、従来は牧会ケアと結び付けられてきた役割を担い始めているのではないかという議論を促した。
同じく論文の執筆者の一人である聖書神学者のゾルターン・シュワーブ博士は、AIへの容易なアクセスが、聖書解釈における形成的な葛藤を損なう恐れがあると警告した。
伝統的な学問には時間、文脈、継続的な努力が必要だが、AIは即座に答えを提供するため、より深い理解が制限される可能性があるという。
シュワーブ氏は、人々がAIを適切に活用できるよう、教会がサポートすることを提案した。
「人々に、AIをどう使うか、あるいはどう使わないかを教え、そして(AIの利用において)特定の習慣や規律を身に付けさせることが重要だと思います。これら全ては、恐らくより理論的な問い、つまり聖書を読んだり学んだりする目的は何なのか、という問いに関係しているかもしれません。聖書本文と格闘することの方が、問いへの答えを得るよりも重要な場合が多いのではないでしょうか」
シュワーブ氏は、将来のAIツールは、人々が多様な聖書解釈に触れる手助けをしつつ、自らの伝統により深く関わることをサポートするものとなるべきだと語った。また、聖書チャットボットが、教師やメンターのように機能し始めれば、その責任は増大し、神学的なバランスを欠く場合、潜在的なリスクになり得ると警告した。
英国聖書協会のコンテンツ・デジタル戦略ディレクターのトビー・ベレスフォード氏は、今回の研究結果は、ますますデジタル化が進む環境における教会の課題と機会の両方を浮き彫りにしていると述べた。
ベレスフォード氏は、オンライン世界を「デジタル大陸」と表現し、これらの空間では既に大規模な霊的形成が起こっていると述べた。
「われわれは、これらのデジタル国家における使命を帯びています。何十億もの魂の神学的形成がかかっているのです」
英国聖書協会は現在、単純化した回答を即時に提供するのではなく、聖書とのより深い関わりを促すことを目的とした、AIベースの聖書ツールを独自に開発している。
今回の研究は、英国聖書協会と昨年設立されたケンブリッジ大学中国神学センター(CCCT)が協力して、AIを利用した聖書チャットボットが持つ神学的偏りについて調査する試験的なプロジェクトとして行われた。

















