レバノン南西部スールで9日夜、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の建物がイスラエル軍の空爆による被害に遭い、少なくとも8人が死亡した。
地元のキリスト教関係筋が、カトリック慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN、英語)に語ったところによると、被害に遭った同教会スール大司教区は当時、イスラエル軍の空爆により避難を余儀なくされた人々を建物内で保護していた。
空爆により、避難所として使用されていた教会堂と隣接する2つのホールが崩壊し、司祭の住居と教区事務所が入る3階建ての建物にもミサイルが命中し、完全に破壊された。
レバノンのキリスト教徒たちは、イスラエル軍が9月末に同国南部を拠点とするイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」に対する攻撃を開始して以来、人々に避難場所を提供してきた。
マロン典礼カトリック教会のハンナ・ラフメ大司教はACN(英語)に対し、自身が管轄するレバノン東部のバールベック・デルエルアフマル大司教区では、キリスト教徒たちが、イスラム教徒を含め避難民を自宅に受け入れていると話した。こうした避難場所を提供されたイスラム教徒たちは、キリスト教徒たちの連帯に非常に感動しているという。
「デルエルアフマル周辺の村々では、キリスト教徒たちが1世帯当たり3、4世帯、つまり30~60人程度の避難民を受け入れています。国内避難民の数の多さには胸が詰まりますが、彼らを見捨てるわけにはいきません。私たちは自分たちだけのためにキリスト教徒であるのではなく、全ての人々のためにキリスト教徒なのです」
ラフメ大司教によると、NGOは学校に避難している避難民の支援に重点を置いているため、大司教区は避難民を受け入れている家庭に対する支援を強化しているという。
ラフメ大司教は、食料やマットレス、毛布が最も緊急に必要だとし、状況は「危機的」だと強調。「どうか私たちのそばにいてください。力を合わせれば、素晴らしいことができるでしょう」と語った。