12日に閉会式が行われ、17日間の大会に幕を下ろしたパリ五輪。大会には200以上の国や地域から、約1万500人の選手が参加した。その選手やコーチ、スタッフたちが宿泊した選手村で、太平洋の島国フィジーの選手団が賛美歌を歌い礼拝をささげる様子が大会期間中、SNSで広く拡散された。
オセアニア諸国のチームを受け入れる建物の近くに宿泊したオーストラリアの水球選手マチルダ・カーンズさんは、日曜日の午後に礼拝のために集まり、賛美歌を歌うフィジーの選手たちの様子を映した動画をインスタグラム(英語)で共有した。
「オセアニアの建物の隣という五輪選手村最高の席で」。そうコメントを添えてカーンズさんが動画を投稿すると、58万以上の「いいね!」が付いた。
カーンズさんはこの5日前には、部屋の中にまで届くフィジーの選手たちの賛美歌の動画をインスタグラム(英語)でシェアしている。こちらも、68万以上の「いいね!」が付く人気で、カーンズさんは「とても美しいです。みんなバルコニーに出てきて聞いています」とコメントしている。
これらの動画では、フィジーの選手たちが「Mo Ravi Vei Jisu」という賛美歌を歌っている。クラシックFM(英語)によると、「主に信頼を置けば、主があなたの道を導いてくださる」という意味の歌詞の曲だという。
全人口の約6割がクリスチャンだというフィジーの人々とって、信仰は生活の重要な一部になっており、賛美歌を歌うことは習慣として定着しているという。
フィジーの選手たちが賛美歌を歌う様子を映した動画は、選手団の公式フェイスブック(英語)にも投稿されている。動画には、「本日午後の日曜礼拝で賛美歌を歌うフィジー選手団」と説明が付けられている。
フィジーの選手たちによる歌声は、一部のメディアにも取り上げられた。ロイター通信(英語)は、選手村で早起きをすると、フィジーの7人制ラグビー選手たちによる素晴らしいハーモニーの歌声で一日を始められると伝えている。オーストラリア選手団のスタッフは、同通信に次のように語った。
「午前6時半ごろから始まることが多いです。誰もうるさいとは思いません。ただただ美しい響きです」
フィジーの7人制ラグビー男子チームは強豪で、2016年のリオデジャネイロ五輪と21年の東京五輪では金メダルを獲得している。今年は惜しくも開催国のフランスに敗れ銀メダルとなったが、7人制ラグビーが五輪の正式競技に採用されて以来、3大会連続でメダルを獲得している。
東京五輪で金メダルを獲得した際、男子チームはフィジーの賛美歌「E Da Sa Qaqa」を母国語で歌った。
「われわれは打ち勝った、われわれは打ち勝った、小羊の血によって、主の御言葉によって、われわれは打ち勝った」
主将を務めたジェリー・トゥワイ選手は当時、英ガーディアン紙(英語)に、チームは祈りと歌で始まり、祈りと歌で終わると語っている。
「この歌は、私たちの神は愛に満ちた神であり、私たちは常に神が私たちに期待されることから外れがちだが、それでも神は私たちを愛し、良いものを与えてくださる、と言っているのです」