イランは、イスラム教徒が多数を占める国である。キリスト教徒は人口の約1パーセントと推定されている。それにもかかわらず、イランのキリスト教改宗者として、私は大いに勇気付けられている。なぜなら、イランではキリスト教が台頭しつつあるからだ。
世界宣教の状況についてまとめているオペレーションワールドの2016年の報告によると、イランは福音派の成長率が世界で最も高く、年間20パーセント近く成長している。現在でもこの傾向は続いており、多くの人々がイエスを救い主とし、イエスに従うことを選び続けている。この成長は、イスラム教に幻滅したイラン人によって促進されている。しかし、私たちは福音の力と、多くの人々に変化をもたらしているその影響力を忘れることはできない。私の母が夢を見たことから始まった私自身のキリスト教への旅は、その力を証明するものだ。
何年も前、世俗的なイスラム教徒であった私の母は、イエス・キリストの夢を見、神聖な出会いを経験した。このような神聖な体験は、イラン人にとっては珍しいことではない。この地域の人々はイエスについての情報にアクセスすることは難しいが、多くのイスラム教徒が夢や幻を通してイエスとのつながりを体験している。私の母が救い主に出会ったのは夢を通してで、それが私たち家族に変化をもたらした。
彼女が夢を見た後、教会を訪れたところ、1979年に製作された映画「ジーザス」のビデオテープを快く提供してくれた。映画は、キリストのメッセージをイランの人々に伝えるためにペルシャ語に訳されたものだった。映画を見た母の心は、イエスの愛と教えに引き寄せられ、心からイエスに人生をささげるようになった。それから数カ月後、私も自分の人生を主にささげる決心をした。
私の人生をキリストに委ねた後、主は私に、イランの人々に福音の良き知らせを伝えることに専念する奉仕の先頭に立つ道を開いてくださった。私自身の霊的な旅において、映画「ジーザス」が人生を変えるほどの衝撃を与えたことから、私はこの映画を用いた宣教を行っている「ジーザス・フィルム・プロジェクト」に連絡を取り、私たちの衛星テレビネットワークであるモハバトTVを通じて、「ジーザス」のペルシャ語版をイラン国内で放送するために必要な権利を確保した。
これにより、キリストの生涯、死、復活という時代を超えた物語を、イエスによる救いのメッセージに出会ったことのない多くのイラン人に届けることができた。長年にわたり、私たちはジーザス・フィルム・プロジェクトと緊密に協力する祝福と特権を与えられてきた。この映画の監督である故ポール・エシュルマン氏は、私の個人的な師であり、私のクリスチャンとしての信仰の歩みを形作ってくれた。
映画「ジーザス」は、今でもイランの衛星テレビで放送され、人々はキリストに従うことを選択している。この映画が文化的、宗教的境界を超越する能力を備えていることが、そうした決断に極めて重要な役割を果たしている。中東で一般的な「名誉と恥」という文化的規範は、しばしば宗教的な議論を非生産的なものにする。しかし、人々が映像媒体を通して福音の物語を体験すれば、議論の必要性はなくなる。人々はただ、スクリーンに映し出されたイエスの生涯と、御子を通して発せられる神の御言葉の力を目撃することができる。このアプローチは理解の架け橋となり、知的な言説だけに頼るのではなく、より直感的で感情的なレベルでキリスト教信仰の真理とつながることを可能にする。
中東におけるもう一つの認識は、西洋人が自分たちの文化的価値観を中東に押し付けようとしているというものである。中東の多くの人々は、キリスト教を西洋の伝統に根ざした信仰だと考えている。しかし、彼らが母国語で映画「ジーザス」に出会い、イエスが中東出身であることを認識すると、彼らは深く共鳴し、キリスト教に対する見方を再定義する。この気付きは先入観に挑戦し、信仰の起源とその地域の文化遺産とのつながりに対する深い理解を育む。
次世代のメディア消費の仕方におけるダイナミクスの変化は、イラン人への宣教を考える上で非常に重要である。調査によると、今日の若者は古いコンテンツにあまり興味を示さないため、この層に効果的につながり、リーチするためには、新しいイエスの映画を製作する必要がある。次の世代に福音の真理を伝えることは最も重要なことであり、新しいイエスの映画の開発がその責務に応えることは喜ばしいことだ。
キリスト教の主題に関する教派の違いは広い信仰共同体の中に存在するかもしれないが、キリスト教信仰の基礎として、新約聖書の4つの福音書の一致した認識がある。従って、キリスト教共同体は、真の聖書的正確さに基づくキリスト教映画を宣伝し、紹介し、広めるために団結しなければならないと感じている。中東が文化的ダイナミクスの変化と次世代のニーズの進化に取り組む中、キリスト教の物語をこの地域の歴史と遺産に深く根ざしたものとして再構築し、キリスト教を否定的な固定観念から解放するリソースを持つことは、大きな影響を与えることになるだろう。
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マイク・アンサリ(Mike Ansari)
イランとその周辺国を対象に活動している宣教団体「Heart4Iran(ハート・フォー・イラン)」の最高責任者(CEO)。ハート・フォー・イランは2006年の設立以来、弟子訓練、教会開拓、オンライン教会の運営、聖書配布、リーダーシップトレーニング、24時間放送のペルシア語衛生放送局「モハバトTV」の運営、SNS伝道などを行っている。