マリにおける迫害とはどのようなものか。2012年にマリ北部を荒廃させたイスラム過激派の反乱は、マリの少数のキリスト教徒に大きな影響を与え続けている。
教会は焼き払われ、多くのキリスト教徒が家を失い、この地域から逃げ出さなければならない。一部の信徒は警察の保護下に戻ったものの、依然として攻撃の脅威にさらされている。武装勢力に支配されている地域に住む人々は、水や作物を育てるための土地へのアクセスを拒否されている。
北部で伝道活動に従事する信者は特に暴力にさらされやすく、キリスト教宣教師はジハード主義者による拉致など、絶え間ない脅威の中で生活している。イエスに従うためにイスラム教を離れた人々は、改宗が発覚した場合、親族や地域社会からの暴力や圧力を受ける危険性がある。
ジハード主義者の暴力は南へと広がり、国の制度は急速に崩壊し、ジハード主義者グループを勢いづかせている。反乱を食い止めることができない当局の姿勢は国民の抗議行動につながり、2度の軍事政権奪取(2020年と21年)の一因となった。また、同国は西側と東側の地政学的な激戦地となっており、キリスト教徒は政府関連の迫害を受けやすくなっている。
キリスト教徒は、ジハード主義者やフラニ過激派が活動する同国北部で、信仰に対する反感を最も強く受けている。マリ南部にも、疎外という形で激しい迫害を受ける地域がある。
しかし、昨年は良いニュースもあった。著名なイスラム教指導者たちがマリを「多宗教国家」にしようと呼びかけたのだ。少数派である自分たちにとってどのような意味を持つのかと、キリスト教徒の間に懸念が広がったにもかかわらず、6月、マリ国民は、同国が世俗国家であり続けることを盛り込んだ憲法草案を承認した。さらに新憲法は、2024年の選挙、民政復帰、統治強化に向けた一歩として注目されている。新憲法が、弱く少数派であるキリスト教徒を含む、全てのマリ国民の保護強化につながることが期待されている。
イスラム過激派からの攻撃の危険にさらされているクリスチャンの勇気と安全のために祈ろう。そして迫害の影響を受けている人々が、神の慰めを深く体験できるように祈ろう。
今年、選挙が実施され、マリの統治がより強固で公正なものになるよう祈っていただきたい。
■ マリの宗教人口
イスラム 87・4%
プロテスタント 0・7%
カトリック 1・9%
土着宗教 9・9%
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