茨城キリスト教大学(茨城県日立市)はこのほど、2024年4月に「未来教養学環」を新設すると発表した。同大が設置する4学部7学科の専門知識を分野横断的に学ぶことを通して、予測困難で不確実な未来を切り開く教養人の育成を目指す。
4年制の学部に相当する組織で、同学環のページによると、カリキュラムは大きく「全学教養科目」と「学環科目」の2つに分かれる。
全学教養科目は、▽建学の精神(キリスト教の精神と文化)、▽現代教養、▽言語コミュニケーション、▽データサイエンス、▽健康スポーツ、▽汎用的スキル、▽問題解決の7つの領域で構成され、幅広い教養、問題解決の基礎、あらゆる場面で必要な汎用的スキル(思考力、問題解決力、対人基礎力など)をバランスよく学ぶ。
学環科目は、全学教養科目で学んだ幅広い教養を基に、プレゼンテーション能力やファシリテーション能力など、問題解決のための基礎的なスキルを身に着ける基礎演習を行う。その上で、実際に問題解決のためのプロジェクトを企画・実施するアクティブラーニング型の演習を行うという。
学環長に就任予定の佐々木隆宏准教授(文学部児童教育学科)は、同学環のページで、世界的な混乱をもたらした新型コロナウイルスや、今では生活に欠かせなくなったスマホ、さらに最近登場した生成系AIなどに触れ、「未来は予測困難で不確実、複雑で曖昧」だと指摘。このような世界の中で、現状を把握して未来を構想し、不確実さや曖昧さの中で試行錯誤しながら、未来を切り開いていくことのできる人物を丁寧に育てていくのが、同学環だと説明している。
地元の茨城新聞によると、茨城キリスト教大学は昨年から同学環の設置に向けた検討を進め、7月25日に文部科学省に設置を届け出て受理されたという。
募集定員は20人(総合型選抜8人、学校推薦型選抜7人、一般選抜5人)。社会人、帰国子女、外国人留学生入試は実施しない。詳しくは、同学環の入試ガイドを。募集要項は8月中旬に、同大の受験生サイトに掲載される予定。
学環は、複数の分野にまたがる学びをする学部や研究科に相当する組織に近年、大学が付けている名称。00年に創設された東京大学大学院情報学環・学際情報学府で、創設に関わった水越伸氏(現関西大学社会学部教授)は日本経済新聞の取材に対し、学環という言葉は東大の造語だとし、「さまざまな『学』を『環』状につなぐという意味がある」と説明している。茨城県内では、茨城大学(水戸市)も先月、24年4月に「地域未来共創学環」を設置することを発表している。