サンパウロ大学の大都市研究センター(CEM)はこのほど、ブラジル国内のプロテスタント教会のこの100年間の成長を分析した報告書を発表した。
それによると、ブラジル国内のプロテスタント教会は、1960年には公には18教会しか存在しなかったが、60年後の2019年には10万9560教会まで増加した。2019年の1年間だけでも、6356教会が新設されており、平均すると毎日17教会が誕生している計算になる。
報告書(ポルトガル語)は、ブラジル国内のプロテスタント教会の動向を、1920年から2019年までの100年間にわたって追跡し、分析したもの。サンパウロ大学出身で現在はチューリッヒ大学(スイス)で政治学の研究員を務めているビクトル・アラウージョ氏がまとめた。
アラウージョ氏は主に、全国法人台帳番号(CNPJ)を利用してデータを集めた。ブラジルでは、教会を含めたあらゆる法人が、税免除を受けている場合でもCNPJを取得する必要があるという。一方、CNPJを取得せずに運営されている教会もあり、実数はさらに多くなるとみられる。
アラウージョ氏の調査によると、ブラジルの連邦歳入庁に最初に登録されたプロテスタント教会は、1922年設立のノバイグアス第一バプテスト教会。ノバイグアスは、リオデジャネイロ郊外にある都市だ。
その後、公に確認できるプロテスタント教会はほとんど増えず、1960年になっても18教会しか存在しなかった。しかし、その後は急速に数が増え、1980年には3087教会となり、170倍以上に増加する。その後も増加傾向は続き、2000年から2016年にかけて最も急速な成長が見られたという。
アラウージョ氏は、ブラジル国内のプロテスタント教会を、1)宣教師設立系(バプテスト派、長老派、メソジスト派など)、2)ペンテコステ系(アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教会、ゴッド・イズ・ラブ教会、フォースクエア教会など)、3)新ペンテコステ系、4)その他――の4種に分類した。
2019年に確認できた10万9560教会では、ペンテコステ系が4万8781教会で最も多く、ブラジル国内のプロテスタント教会の成長を牽引していることが分かる。次いで多かったのは、その他で2万5554教会。宣教師設立系は2万2400教会、新ペンテコステ系は1万2825教会だった。
ブラジルのプロテスタント教会の成長は、教会数だけでなく信者数においても確認できる。
2010年の国勢調査では、カトリック信者は人口の64・6%で、プロテスタント信者は22・2%だった。これに対し、2020年の国勢調査では、カトリック信者が50%に減少したのに比べ、プロテスタント信者は31%に増加している。また、最近の世論調査でも、プロテスタント信者を自認する人の割合は人口の約3割となっている。