ケニアのキリスト教系カルト教団「グッド・ニュース・インターナショナル・ミニストリーズ」(GNIM)の捜査が行われている同国南東部マリンディ近郊で、新たな遺体が発見され、死者が300人を超えた。GNIMでは、牧師である創設者のポール・マケンジィー・ヌセンゲ容疑者が、断食して死ねばイエスと会えるなどと説いていたとされ、それを信じた信者らが餓死したと見られている。発掘捜査は今後も続くことから、死者はさらに増えることが見込まれている。
AP通信(英語)によると、現地の捜査当局は14日、マリンディ近郊のシャカホラの森で新たに19人の遺体を回収し、死者が計303人になったと発表した。現場は同国東部の海岸沿いに位置する広大な森林地帯で、ヌセンゲ容疑者と信者らはこの地域に居住区を設置していた。
ロダ・オニャンチャ地方長官は現地のジャーナリストらに、この地域に関わりのある613人が行方不明になっていると話している。
一方、居住区から救出され、保護施設に収容された95人の信者のうち65人は、収容に対する抗議行動としてハンガーストライキを敢行したため、自殺未遂で起訴された。信者らはその後、拘置所に移送されたと伝えられている。
地元警察は4月、大量の餓死者が出ているという通報を受け、ヌセンゲ容疑者が所有していた森の中の土地を捜査。多数の遺体が発見されるとともに、やせ細った信者数十人も見つかり、信者らは地元の病院で手当てを受け、保護施設に移送された。
ヌセンゲ容疑者が初めて逮捕されたのは3月で、子ども2人が両親の元で餓死した事件を受けたものだった。しかしこの事件では、ヌセンゲ容疑者は10万ケニア・シリング(約10万円)の保釈金を払い、保釈された。その後、シャカホラの森の捜査で、餓死した疑いのある最初の4人の遺体が発見されたことで、4月に再逮捕された。それから既に2カ月が経過しているが、捜査当局は、事件の全容を把握すべく捜査を続けている。
類似した事件は、昨年7月にナイジェリアでも起きている。同国南西部オンドにある「ホール・バイブル・ビリーバー教会」の牧師らが信者らに対し、イエス・キリストの再臨時にあると預言されている「携挙」が同年4月に起こると告げ、教会の地下室で待つよう勧告。牧師らは後に、携挙は同年9月に変更されたと話を変え、中には半年以上、教会の地下室にとどまっていた信者もいたとされる。この事件では、子ども23人を含む少なくとも77人が救出された。