マレーシアの中に、飛び地状に存在する人口わずか45万人のアジアの小国ブルネイは、豊かな地下資源に経済が支えられ、教育費も医療費も無料だ。しかも所得税もなく、アジアで最も裕福な国の一つとして数えられる。イスラム教徒のマレー人が多数派を占めるが、華僑の中国人も多い。
同国では、イスラム教徒と非イスラム教徒の両方に適用されるシャリア(イスラム法)の施行が進んでおり、この国を完全にイスラム化することを目標としている。そのため、この国のごく少数のキリスト教徒にとっては、信仰を表明し共有することが、日に日に困難になってきている現実がある。イスラム教からの改宗は違法であり、イスラムからの改宗キリスト信者は、主イエスへの信仰の放棄を迫られる可能性が常にある。
プロテスタントは教会として登録することができないため、世俗的な組織として登録せざるを得ない。そのため毎年、財務報告書と運営報告書を政府に提出することが義務付けられる。教会の活動は全て当局と地域の人々によって監視されており、教会の指導者は、伝道活動をしたり、人々に知られ公になることを当局から警告される。
政府は、イスラム教の普及を促すため、イスラム教徒になる者に援助を与える。その結果、一部のキリスト教徒がイスラム教に改宗することを強要されることがある。
一般に、教会やキリスト信者を取り巻く状況に長らく大きな変化はないように見えるが、ここ数年、教会やその活動に対する圧力が徐々に高まっていることが見て取れる。あるキリスト信者は、次のように証言する。
「信者はリスクを負いたがりません。親たちも、公共の教会のイベントには子どもを行かせないという選択をします。私の友人の中には、もう教会に自分の居場所はないと言っている人さえいます」
同胞からプレッシャーを受けている若い兄姉たちに、信仰を持ち続ける強さが与えられ、教会指導者が、政府の規制や監視の目をかいくぐりながら弟子作りができるよう、上からの知恵が与えられるように祈ろう。政治的にも社会的にもイスラム教に従わないことを選択した人々により大きな自由が与えられ、ブルネイの宣教が進むように祈っていただきたい。
■ ブルネイの宗教人口
イスラム 65・3%
プロテスタント 5・0%
カトリック 5・3%
土着の宗教 6・6%
仏教 8・9%
儒教 5・3%