学校法人恵泉女学園(樋野興夫理事長、廣瀬薫学園長)は20日、運営する恵泉女学園大学・大学院(大日向雅美学長、東京都多摩市)について、2024年度以降の学生募集を停止すると発表した。同日開催された理事会で決定した。
大学のホームページに掲載された発表によると、18歳人口の減少や共学志向といった社会情勢の変化により、入学者の定員割れが続き、大学部門の金融資産を確保・維持することが困難になったという。大学存続のためにあらゆる可能性を模索し、慎重に検討を重ねてきたが、閉学を前提とした募集停止という苦渋の決断に至ったとしている。
今後は、23年度入学生を含めた全ての在学生が、卒業するまで充実した学生生活を送れるよう、教職員一同心一つにして教育に万全を尽くすとし、就職支援や進路確保についても誠意を持って対応するとした。また、同窓会もこれまで通り、卒業生と共に活動を続けるという。
各種証明書など必要書類の発行については、閉学後は学校法人で対応する。恵泉女学園中学・高校については、「この件で不利益を被ることはございません」とし、変わらず生徒たちの教育に尽力するとしている。
23年度入学予定者・在学生とその保護者・保証人、入学予定者の出身高校、協定校、各種プログラム実習先、旧役員・旧教職員に対しては、3月20日付で文書を発送。23年度入学予定者・在学生とその保護者・保証人に対しては、25日と27日に説明会を開催するとし、詳細は文書で確認するよう求めている。
恵泉女学園は、日本YWCA同盟総幹事などを務めた教育者の河井道(1877~1953)が1929年に創設。大学は88年、大学院は2001年に開設した。「神を畏れ、人を愛し、いのちを育む」を教育理念として掲げ、「聖書」「国際」「園芸」の三つを柱とし、キリスト教信仰に基づいた女子教育を行ってきた。
現在、大学は人文学部と人間社会学部の2学部4学科、大学院は人文科学研究科と平和学研究科の2研究科を設置している。
大学の公開資料によると、22年5月時点の学部生は1028人。19年度と20年度は入学者が定員を上回っていたが、21年度と22年度は下回り、特に22年度は定員290人に対し入学者は半数近い162人しかいなかった。
また、別の公開資料によると、大学院も入学者の定員割れが続き、22年度は定員12人に対し1人しか入学者がいなかった。