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天下無敵の人生 安食弘幸

2023年1月18日21時23分 コラムニスト : 安食弘幸
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天下無敵の人生 安食弘幸+

「人からしてもらいたいと望むとおりに、人にしなさい」(ルカ6:31)

昔「天下無敵」と評判の2人の人物がいました。それである人が、その2人の人物にそれぞれ「あなたはどのようにして ”天下無敵” と言われるようになったのですか」と質問しました。

一人の人物は答えました。「私は今まで出会った敵を全部殺してきました。ですから今は、敵は存在しません。従って、私は ”天下無敵” なのです」

もう一人の人物は答えました。「私は今まで出会った敵と全員友人になりました。ですから、私は ”天下無敵” です」

あなたはどちらのタイプの「天下無敵」になりたいと思いますか。私は断然、後者のタイプになりたいと思います。

イエス・キリストは、どうすれば後者のタイプの「天下無敵」になれるかを教えてくださっています。

イエス・キリストの教えを聞くときの一つの大切な原則があります。イエスが語られた内容は、道徳的に非常に高いレベルの話です。私たちの現状を見るなら、はるか上のレベルの話です。

しかしイエスは、そのハードルの高さを仰ぎ見て、私たちがため息をつくために語られたのではありません。私たちが神の愛と聖霊の力を受けて生きるとき、どんな生き方ができるかという可能性を示されたのです。

私たちは、イエスが教えられたような生き方ができる者、「神の作品」として造られたのです。そのことを心に留めながら、このイエスの言葉に耳を傾けてみましょう。

イエスは言われました。「あなたがたの敵を愛しなさい。あなたがたを憎む者たちに善を行いなさい。あなたがたを呪う者たちを祝福しなさい。あなたがたを侮辱する者たちのために祈りなさい」(ルカ6:27、28)

ここでイエスは、あなたに不利益をもたらす「敵」に対して4つの態度で臨みなさいと言われるのです。

・一般的には「敵」は「攻撃する、張り倒す」。しかしイエスは「愛しなさい」と言われるのです。
・「憎む者」は「無視する、相手にしない」。しかしイエスは「善を行いなさい」。
・「呪う者」は「呪い返す」。しかしイエスは「祝福しなさい」。
・「侮辱する者」は「言い返す」。しかしイエスは「(幸せを)祈りなさい」。

ここでイエスが教えられたことを一言でまとめると、敵に対して否定的な感情表現で対処するなということです。

私たち人間の感情には「喜怒哀楽」があります。そして、それぞれに肯定的な面と否定的な面があります。

人の成功や幸せを喜ぶのは肯定的な喜び。
人の失敗や不幸を喜ぶのは否定的な喜び。

不正や不義を見て怒るのは肯定的な怒り。
自分の気分を害されたと怒るのは否定的怒り。

悲しむ者と共に悲しむのは肯定的悲しみ。
自分を憐(あわ)れむ悲しみは否定的悲しみ。

自らの人格形成に役立つ楽しみは肯定的楽しみ。
自分の欲望を満足させるだけの楽しみは否定的楽しみ。

イエスはこうした喜怒哀楽の否定的表現はやめなさいと言われるのです。

しかしある人々は言います。「人間はプラスとマイナスあらゆる感情を表現することでより人間らしくなる。腹を立てる、イライラする、頭にくる、人の悪口を言う、嫉妬する。それを含めて人間である。感情の否定的な面を抑圧すると、人間らしさが失われていく。人間としての魅力がなくなっていく」

しかし、それは本当でしょうか。NASA(米航空宇宙局)の宇宙飛行士は、毎日2時間ずつの訓練を2年間行うそうです(延べ時間にすると約1400時間に及びます)。

その訓練の大半は「トラブルをいかに解決するか」というものです。例えば、エンジンが停止したとか、アームが動かないとか、耐熱タイルが剥がれ落ちたとか、さまざまなトラブルを起こさせ、宇宙飛行士がそれを一つ一つ解決していくという訓練です。

こうしたものすごいストレスの中で訓練を受けていると、千時間を超えたあたりからその人間の持つ本質的な性格が出てくるといいます。どんなに我慢していても、もともと短気であるとか、すぐにイライラしたり怒りっぽかったりする人は、それを出してしまいます。

そして、否定的な感情表現を発してしまうのです。「こんちくしょう。お前のせいでこうなったじゃないか」「何してるんだ、チャンと自分のことをやれよ」。こうしたネガティブな感情や言葉を発した途端に、訓練の指導官は「ハイ!キミ、もう帰っていいよ」と言って、訓練から外すのです。

宇宙飛行士の候補者というのはみんな優秀な頭脳の持ち主ですから、技術や知識に大きな差はありません。従って、最後の決め手になるのはその人柄です。どんな極限状況に置かれても、否定的な感情や言葉を発しない人、チームワークを乱さない人が最終的に宇宙飛行士になれるのです。

では、こうした否定的感情を表現しない人は、魅力的ではないのでしょうか。日本人として宇宙飛行士に選ばれた人たちを考えてみてください。毛利衛さん、向井千秋さん、若田光一さん、野口聡一さん、星出彰彦さん・・・。実に人間味あふれた、魅力的な人たちではありませんか!

ある人は言います。「でも私は宇宙飛行士になる予定はないので、別に構いません」。しかし私たちは全員、この広大な宇宙を旅する宇宙船「地球号」(時速10万7280キロ)の乗組員です。この旅をより充実したものにするために、私たち一人一人成長する必要があるのではないでしょうか。

◇

安食弘幸

安食弘幸

(あんじき・ひろゆき)

峰町キリスト教会牧師。1951年、島根県出雲市に生まれる。関西学院大学社会学部卒。大学時代は硬式野球、関西六大学リーグのスラッガーとして活躍。関西聖書学院卒。セント・チャールズ大卒(哲学博士)。JTJ宣教神学校講師、国内外の教会や一般企業、ミッションスクール、病院、福祉施設などで講演活動を行っている。著書に『キリストを宣べ伝える―コリント人への手紙第二』『心の井戸を深く掘れ』『道徳力―モーセの十戒に学ぶ―』『ルツの選択、エステルの決断』など多数。

■ 峰町キリスト教会ホームページ
■ 峰町キリスト教会 YouTube
■ 峰町キリスト教会 Facebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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