英国の牧師や司祭らがこのほど、結婚や性、アイデンティティーに関する聖書的見解を支持する「大いなる愛宣言(Greater Love Declaration)」(日本語訳)を発表した。署名者はこれまでに、牧師や司祭ら、教職者・牧会奉仕者だけで1300人を超え、それ以外で宣言に支持を表明する一般信徒らを含めると3千人を超えている。
宣言は、結婚を生涯続く男女の結び付きと定義し、「あらゆる性的欲求と指向は神聖である」とする考えを否定。これらの問題に対するキリスト教の伝統的立場を肯定している。その一方で、教職者や牧会奉仕者に対しては、同性に引かれる気持ちや、自身の性別への違和感に悩む人々について、差別的な扱いや他者と異なる扱いをせず、繊細に応じるよう求めている。
宣言の共同執筆者であるヨークトリニティー教会(国際長老教会)のマシュー・ロバーツ牧師は、宣言に対する幅広い支持について次のように語っている。
「これらの支持は、(宣言が)単に、結婚や性、アイデンティティーについての古典的、歴史的なキリスト教の教えを表明しただけに過ぎないということの反映です。しかしながら、私たちの教会では、周囲の文化とどのように関わり、これらの事柄について聖書が述べていることをどのように積極的に表現すべきかについて、人々が苦心しているのです」
「キリスト教の教えを法の力によって抑圧しようとする試みは明らかです。通常のキリスト教の子育てや牧会にも適用されるような幅広い転向療法の禁止が提案されているのです。イエスが教えているように、人生を律する上では性的な行動も含め、私たちは他者のために命を捨てるべきです。それはキリスト者にとって過激なメッセージではなく、むしろ私たちの世界のためであるはずです」
11月には、結婚や性、アイデンティティーに関する聖書の教えを支持するキリスト者を支援するために、「大いなる愛会議」がロンドンで開かれた。
共同執筆者の一人で、英国国教会の総会代議員であるジュリー・マクスウェル博士は、「傷ついた子ども時代:いかに子どもたちは、性的早熟によって傷つけられているか」と題して発題し、次のように述べた。
「結婚や性、アイデンティティーに関するキリスト教の教えが有害であると見なされることが、ますます多くなってきています。しかし、本当の害は、私たちの社会でますます顕著になっている子どもたちの性的早熟によってもたらされているのです」
「『大いなる愛宣言』は、神が意図された良き人間関係に自信を持てるよう、教会の指導者や親たちを励まし、力づけるものです」
一方、同じく共同執筆者の一人で、ノッティンガム聖ニコラス教会(英国国教会)で副牧師を務めるイアン・ポール司祭は、教会が結婚と性に関する教えについて、一貫した立場を示してきたのかを問いかけた。その上で、教会は受け身的であるよりも積極的である必要があると語った。
「多くの教会で起こったことの一つに、伝統的な結婚の形や家庭生活に対する文化的な圧力がかかってきたとき、奇妙な沈黙が生じたことが挙げられます。この問題が突然論議を呼ぶようになったため、教会はある種、油断してしまったのです。変化のスピードがあまりにも速かったこともあり、多くの教会は、この問題を教え、取り組むという点で追い付いていないのです」
「私たちは、あまりにも頻繁に受け身的になってしまいます。社会や文化で何かが起こったり、新聞に載ったりすると、それは間違っているとか、なぜそれに反対なのかを言いたくなります。私たちは、単にやってくるさまざまな事柄に反対するのではなく、『結婚や性、セクシュアリティー、人間関係についての肯定的な見方がここにあります』と、より積極的に語る必要があるのです」