英国国教会は、信者が結婚した後に別の性別に移行した場合でも、その結婚は有効であるとの立場を表明した。ただし有効とされるのは、カップルが結婚当初に異性関係にあった場合に限定される。
この表明は、英ヨーク大学で開催された総会(5~9日)に先立ち公表された100余りの質問に対する回答書(英語)の中で行われた。回答は、英オックスフォードのノースゲート・セントマイケル教会で教区委員を務めるプルーデンス・デイリー氏による下記の質問に応じたもの。
「結婚に関する英国国教会の教えによれば、結婚は一生涯続くもので、一組の男女間においてのみなされるものとされますが、夫婦のどちらかに性転換(性別の移行)が生じた場合でも、2人が依然として夫婦として認められるか否かについて検討は行われたのでしょうか」
これに対し、ニューカッスル教区のクリスティン・ハードマン主教は、同教会の主教会議長代理として、次のように答えた。
「牧会諮問団は、ある特定のケースを背景にしてこの質問を検討しました。ただし、私が個人的な事情に関してこの場でコメントしたり、一つの事例のみから一般原則を引き出したりすることはできません。しかし、私たち諮問団は2つの重要な点を指摘しました。
夫婦は教会で結婚する際、良いことがあっても悪いことがあっても、豊かでも貧しくても、病気でも健康でも、また何が起ころうとも、互いに貞節を守ることを神の前で誓います。ただし、もし2人がこれを負い切れないと気付いた際には憐(あわ)れみを示すよう私たちは説いています。
第二に、問題を解決する方法として離婚が積極的に推奨されたことは、英国国教会史上、一度もありません。私たちは、貞節と和解と赦(ゆる)しを常に優先してきました。離婚は、2人が共に過ごすことが人として耐え難い場合の譲歩です。これら2点を踏まえた上で、2人のどちらかが性転換した後においても、2人が夫婦でいることを望む場合、2人を引き離せる者が誰かいるでしょうか」