英国国教会の主教会は22日、司牧声明(英語)を発表し、性交が認められるのは、既婚の異性カップルの間のみとする見解を示した。英国で昨年、結婚と同等の法的権利を認める「シビルパートナーシップ制度」の対象が、同性カップルだけでなく異性カップルにまで拡張したことに対応するもの。
声明は、「貞操な愛情表現としての性交は、結婚の内にのみ正しく属する」とし、「異性婚外の性的関係は、人類に対する神の目的に沿わないものと見なされる」と主張。同性間の性的関係、また異性間であってもシビルパートナーシップにおいては、性的関係は認められないとする見解を示した。
結論では、行政的な制度変更があっても「教会の性倫理に関する教えは変わらない」とし、「クリスチャンにとって結婚とは、一人の男性と一人の女性の間の生涯にわたる結び付きであり、誓約によって結ばれるものであり、性的行為の適切な文脈であり続ける」とした。
英国でシビルパートナーシップ制度が制定されたのは2004年。当時はまだ同性婚が認められておらず、同性カップルにも既婚の異性カップルと同等の法的権利を認めるために導入された。その後、13年にはイングランドとウェールズで、14年にはスコットランドで、そして昨年10月には北アイルランドで同性婚が合法化。異性カップルは、シビルパートナーシップか結婚のどちらかを選択できるようになった。
一方、シビルパートナーシップの対象はこれまで同性カップルのみだった。英公共放送BBC(日本語版)によると、英国は日本と異なり、結婚に関する誓約と挙式が結婚の必須条件となっており、書類に署名するだけで認められるシビルパートナーシップの対象を、異性カップルにまで広げるよう求める声が高まっていたという。
18年には、同性カップルのみにシビルパートナーシップを認める制度は、欧州人権条約に則していないと最高裁が判断。昨年3月に法改正が行われ、対象が異性カップルにまで拡張された。英ガーディアン紙(英語)によると、昨年12月には、異性カップルによる初のシビルパートナーシップが登録されたという。