米最大のプロテスタント教団である南部バプテスト連盟(SBC)の指導者らは、米司法省がSBCに対する捜査を開始したことを明らかにした。
バート・バーバー議長を含むSBCの指導者14人は12日、米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」(英語)に送った電子メールによる声明で、司法省が「SBCに対する捜査を開始し、捜査対象にはSBCの複数の組織が含まれる予定」と明かした。
指導者らは「捜査に全面的に協力することを決意しています」とし、SBCの一部の指導者が性的虐待問題を誤って処理し、被害者を不当に扱ってきたことに言及。捜査が、米調査会社「ガイドポスト・ソリューションズ」が5月に発表した報告書(英語)に関連しており、SBCの執行委員会によって依頼されたものであることをほのめかした。
声明を発表した14人は、SBCの関連組織のトップらで構成される「大宣教命令評議会」のメンバーで、声明で次のように述べている。
「私たちが性的虐待に関連する過去の過ちを悔い、嘆き続ける一方で、SBCの現在の全指導者は、これら過去の問題に取り組む確固たる信念を示し、それらが将来決して繰り返されないようにするための対策を実行しています。SBC執行委員会が最近、完全に透明性のある調査を完了したことは、このコミットメントの証しです」
SBCの指導者らはさらに、「私たちの改革の取り組みは終わっていません」とし、「司法省に協力するという約束は、性的虐待の惨劇に透明性を持って取り組むという、私たちの実証性のあるコミットメントから生まれたものです」と述べている。
「世の中の多くのことが不確かである一方で、私たちは力ある神に仕えていることを確信することができます。この捜査を含め、神を驚かせるようなものは何一つありません。私たちはこのことを慰めとし、これからの数日間、数週間、祈りをささげてくださるよう、皆さんに謙虚にお願いいたします。特に、神が捜査に当たる各人に知恵と見識を与えてくださるように」
ガイドポスト・ソリューションズは5月、SBCの指導者らが、いかに内部告発者に圧力を加え、教会を免責にしてきたかを、報告書で明らかにした(関連記事:元議長による性的暴行事案も 米南部バプテスト連盟、性的虐待の調査報告書を発表)。報告書には、虐待被害者を適切に取り扱ってこなかったことを示す信ぴょう性の高い証言が盛り込まれており、報告書の要旨には次のように記されている。
「ほぼ20年間にわたり、虐待被害者とその関係者たちは、(加害後も)説教壇にいたり、教会スタッフとして雇用されていたりする児童虐待者や他の虐待者たちを告発するために、(SBC執行委員会に)連絡し続けてきました」
「彼らは電話をかけ、手紙を送り、電子メールを送り、SBCと執行委員会の会合に出席し、集会を開き、マスコミに連絡しました。しかし、抵抗や妨害、さらには一部の執行委員からの明白な敵意に、再三再四にわたり遭遇するだけでした」
これを受け、SBCは6月の年次総会で一連の虐待改革勧告案を可決。その中には、虐待問題を扱うタスクフォースの設立や、性的虐待で訴えられた教会指導者を追跡するための「ミニストリー・チェック」というデータベースの作成が含まれている。
6月の総会でSBCの新議長として選出されたバーバー氏は、選出後に開いた記者会見(英語)で、「問題は、私たちの神学や体制にあるのではありません。実際これらは私たちの強みです。私たちの神学が正しいと確信しているからこそ、現在、私たちの行動が間違っていたと確信しているのです」と述べている。
バーバー氏は、「性犯罪者たちは、私たちの教会を狩場にしようと、私たちの分権的な体制を利用しました」としつつ、こうした分権的な体制は、性犯罪に対抗することにも利用できると述べた。
「司祭を解雇する教区司教がいないところでは、司祭を擁護する教区司教もいないのです。牧師を罷免する長老会がないところには、その悪事を隠蔽しながら牧師を転任させる長老会もないのです。犯罪者たちは、私たちの制度の弱点を知っています。性犯罪者たちにSBCの教会は危険な場所であると警告するために、SBCの体制がいかに機敏で弾力的であり得るかを、私たちが理解する時が来たのです」