選ばれることを人は望みます。学校でも選挙で学級委員や美化委員などを選びますし、地域では区長や市長、町長などを選出します。人は、特別な権力を持った特権階級に選ばれたいものでしょう。
聖書では、神に選ばれた親密な関係にある民のことを、選民と呼んでいます。
1. 王である祭司
しかし、あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です。それは、あなたがたを、やみの中から、ご自分の驚くべき光の中に招いてくださった方のすばらしいみわざを、あなたがたが宣べ伝えるためなのです。(1ペテロ2:9)
「しかし、あなたがたは」の意味は、「(キリストは)より頼んでいない人々にとっては、『家を建てる者たちが捨てた石、それが礎の石となった』のであって、『つまずきの石、妨げの岩』なのです(が、キリストにより頼んでいるあなたがたは)」(同2:7、8)ということです。
前半を要約しますと、「キリストにより頼んでいるあなたがたは、選ばれた民とされ、神の王国の王である祭司、聖別され、神の所有とされた民です」となります。つまり、選民です。
後半を要約しますと、「私たちが神に選ばれた理由は、世の奴隷と罪による病と死の暗闇の中から、キリストの真理と御国の命、平和の光の中に招いてくださったキリスト・イエスによる十字架の素晴らしいみわざを、私たちが人々に宣べ伝えるためなのです」となります。
「知れ。主は、ご自分の聖徒を特別に扱われるのだ。私が呼ぶとき、主は聞いてくださる」(詩篇4:3)
神キリストは聖なる方であり、キリストを信じ、キリストの御言葉に従う私たちも聖とされます。私たちは、王国である御国の王、礼拝をささげる祭司、神が所有する神の民とされ、神は私たちを王である祭司という特権階級として扱われます。ですから、私たちが願い祈ると、神はかなえてくださいます。
2. 神の民
あなたがたは、以前は神の民ではなかったのに、今は神の民であり、以前はあわれみを受けない者であったのに、今はあわれみを受けた者です。(1ペテロ2:10)
「あなたがたは、以前は神の民ではなかったのに」とあります。旧約聖書によれば、アダムからアベル、アベルからノアに至り、ノアとノアの家族8人からアブラハム、アブラハムからイサク、イサクからヤコブ、ヤコブはイスラエルと呼ばれ、イスラエルから12部族が神の民として生まれ、聖書の神を信じる神の民が、砂の数のように増え広がりました。
旧約聖書では、イスラエルの12部族以外の神の民でない人々を、異邦人と呼んでいます。
「以前はあわれみを受けない者であったのに、今はあわれみを受けた者です」とある意味は、「今の新約時代は、神の御子キリスト・イエスを救い主と信じる者は皆、創造主から認められていなかった異邦人もあわれみを受けて神の民、神の子とされ、王である祭司とされます」ということです。
新約聖書では、イエスを救い主キリストと信じる者は、神のあわれみによって神の民に加えられ、王である祭司とされ、御国では神の子とされて、世の終わりの時には御国の富を相続します。
3. 旅人であり寄留者
愛する者たちよ。あなたがたにお勧めします。旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけなさい。異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい。そうすれば、彼らは、何かのことであなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのそのりっぱな行いを見て、おとずれの日に神をほめたたえるようになります。(1ペテロ2:11、12)
「旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけ・・・異邦人の中にあって、りっぱにふるまいなさい」とある意味は、「あなた方は、世では御国を目指す旅人であり、一時的な寄留者であると自覚し、生死に関係するたましいに戦いを挑む肉の悪い欲望を回避して、もっぱら肉的な異邦人の中にあっても聖でありなさい」ということです。
「『わたしが聖であるから、あなたがたも、聖でなければならない』と書いてあるからです」(同1:16)
「そうすれば、彼らは、何かのことであなたがたを悪人呼ばわりしていても、あなたがたのそのりっぱな行いを見て、おとずれの日に神をほめたたえるようになります」とは、「あなたがたが、肉の欲を悔い改めて聖であるなら、世の権力者があなたがたを何かのことで悪人呼ばわりしても、あなたがたの善行報告を見て、彼らは神の霊感により、神をほめたたえるようになります」ということです。
神に選ばれた民の中に加えられること以上に、私たちにとってうれしいことはありません。故に、神の民キリスト者は、世にあって御国を目指す旅人で、一時的な寄留者である自覚を持って、世にある肉の欲から離れて神の前に聖となるなら、たとえ、世にあって悪者呼ばわりされても、神の現れの時に、その善行がほめたたえられるのです。
まとめ
神キリストは聖なる方で光であり、キリストを信じキリストの御言葉に従う私たちも、聖とされ闇から光に移されます。私たちは御国の王、礼拝をささげる祭司、神に選ばれた民とされ、神は私たちを王である祭司という特権階級として特別扱いし、私たちが願い祈ると、神はかなえてくださいます。
イエスを救い主キリストと信じる者は、神のあわれみによって神の民に加えられ、王である祭司とされ、御国では神の子とされて、世の終わりの時には御国の富を相続します。
神に「選ばれた民」キリスト者は、世にあって御国を目指す旅人で一時的な寄留者である自覚を持ち、肉の欲から離れて聖となるなら、たとえ悪者呼ばわりされたとしても、神の現れの時に善行がほめられ、私たちの神をほめたたえるのです。
私たちを選んだ神がほめたたえられるならば、私たちは鼻高々なのです。
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