米ゴードン・コンウェル神学校の世界キリスト教研究センター(CSGC)の最近の調査によると、世界的にはキリスト教が無宗教よりも成長していることが分かった。また、キリスト教の中では、ペンテコステ・カリスマ派が最も急速に成長している教派であることも明らかになった。
CSGCはこのほど、1900年以降のデータと、2025年と2050年の予想値も示した「世界キリスト教情勢2022」(英語)を発表した。それによると、キリスト教信者の1年当たりの増加率は1・17%で、無神論者(0・18%)と不可知論者(0・59%)を合わせた無宗教者(0・52%)の増加率よりも2倍以上高かった。また、キリスト教を含めた宗教を信じる人全体の増加率は1・27%で、世界人口の増加率(1・18%)を上回っており、世界では宗教を信じる人の割合が増加傾向にあることも分かった。
宗教別では、最も増加率が高いのはイスラム教で1・93%、次はヒンズー教で1・21%となっており、これらの宗教はキリスト教を上回る勢いで成長している。仏教は0・84%、ユダヤ教は0・70%と低いが、0・22%の新宗教よりは高かった。
2022年中頃の予想で、信者数が最も多いのはキリスト教で25億5987万5千人。次のイスラム教は19億6132万3千人で、続くヒンズー教は10億7378万4千人、仏教は5億4593万8千人となっている。一方、無宗教は8億9712万4千人(無神論1億4707万9千人、不可知論7億5004万5千人)で、三大宗教の一つとされる仏教を大幅に上回る規模。2050年も信者数による宗教別順位は変わらない予想で、キリスト教が世界最大の宗教となる見込み。ただ増加率はイスラム教が最も高く、米ピュー研究所は2015年、2100年にはイスラム教がキリスト教を逆転し、世界最大の宗教となるとする予想を発表している。
2022年中頃の世界人口に占めるキリスト教徒の割合は32・2%で、教団などの教会組織の数は4万6400に上ると予想されている。これが2050年には、それぞれ34・2%、6万4千に達するとされている。
教派別で見ると、最も急速に成長しているのはペンテコステ・カリスマ派で、増加率は1・88%とイスラム教に迫る勢い。次は1・80%の福音派で、その後、独立系(1・59%)、その他のプロテスタント(1・54%)、カトリック(0・93%)、正教(0・64%)となっている。信者数が最も多いのはカトリックで、2022年中頃の予想で12億5612万人。次はペンテコステ・カリスマ派で6億6723万6千人。その後に、その他のプロテスタント(6億77万2千人)、独立系(4億245万1千人)、福音派(4億12万1千人)、正教(2億9550万8千人)が続く。
地域別では、アフリカが2・77%と増加率が最も高く、次いでアジアが1・50%、南米が1・09%となっている。最も低いのは欧州(ロシアを含む)で0・06%、北米も0・27%とほとんど伸びていない。オーストラリアとニュージーランドを含むオセアニアも0・73%と1%を切り、平均を下回っている。2022年中頃の予想で信者数が最も多い地域は、6億9209万4千人のアフリカ。その後、南米(6億1238万1千人)、欧州(5億6855万9千人)、アジア(3億8877万7千人)、北米(2億6925万人)、オセアニア(2881万4千人)の順になっている。2050年には、信者数でアジアが欧州を超えると予想されている。
調査では、聖書やキリスト教書、キリスト教定期刊行物などの出版状況についてもまとめている。聖書の印刷部数の増加率は2・52%で、2022年中頃には9300万部に達する予想。キリスト教書、キリスト教定期刊行物の増加率はそれぞれ3・67%と4・28%で、2022年中頃にはそれぞれ1060万点、8万8千点が出版されると予想されている。
キリスト教に関わる活動への献金額は、2022年中頃には、世界全体で1年当たり8960億ドル(約103兆2460億円)となる見込み。また教会の収入は、世界全体で3600億ドル(約41兆4800億円)になるという。
宣教従事者は2022年中頃には、国内従事者が1340万人、海外宣教師が43万5千人となり、海外宣教師派遣団体は5700団体となる見込み。一方、10年当たりの殉教者数は90万人と予想されている。
福音が伝えられていない未伝人口は、2022年中頃で22億2355万4千人とされ、世界人口に占める割合は28・0%と予想されている。1900年は54・3%であったことから、この約120年間で25%以上低下したことになる。しかし予想では、2025年も28・0%のままで、さらに2050年は28・3%と若干増加する見込みで、未伝地宣教の停滞が危惧される。