唐代の景教徒たちは聖書や教義書、賛美歌などを彼らの言語のシリア語から漢訳していました。主な用語を拓本部分で紹介し、かっこ内に当時の漢字で表記しました。
1. 聖書
①旧約聖書
781年に長安城街区に建立した景教碑には、旧約聖書が「二十四聖旧法」とあります。「二十四」とは、当時も今もユダヤ教の聖書の数で、プロテスタント教会の聖書数は39書です。24はイエスの時代の配列と同じ、律法・預言書・諸書で、創世記から始まり歴代誌で完結です(マタイ23章35節参照)。数は列王記や歴代誌ほかを1冊にして数えれば24となります。ローマ教会は外典を正典に入れることから、数が多くなりました。景教徒たちはヘブル語からシリア語に訳したペシッタ訳聖書を持っていました。
②詩篇(多恵聖王経)
「多恵」は詩篇の作者、ダビデ王のことです。
③新約聖書
景教碑文には「真経二十七部」とあり、新約聖書が27部で、私たちの聖書の数と同じものを持っていました。
④福音書(阿恩瞿利律経)<アォンゲリオン>
2. 神
①父(父<アバ>、慈父、皇父、一神、天尊、序婆<ヤハウェ>、阿羅訶<アラハ>エロヒムの訳)
②子(子<バル>、イエス<翳数、伊鼠>、メシア<メシハ、迷師訶、弥施訶>、一尊、景尊、世尊、分身、聖子、明子、大師、応身)
③聖霊(浄風、涼風、盧訶寧俱沙<ルハー>霊・<クゥドシャ>聖)
④三位一体(三一、三威、三身同帰一体、父・子・浄風、慈父・明子・浄風王)
東方教会の大秦景教徒たちは使徒トマスの宣教から始まり、中国にまで神を三一の父・子・聖霊として礼拝し宣教していました。
※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
旧版『景教のたどった道―東周りのキリスト教』
シリア語聖書はヤコブ式のものを使用
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