「ジーザス・ジューン・フェスティバル2021」(日本民族総福音化運動協議会・同実行委員会主催)が6月14日、埼玉県の川口総合文化センター・リリアで開かれ、「コロナ禍での伝道の突破口を拓こう」をテーマに神戸平和研究所理事長の杣(そま)浩二氏が講演した。集会の模様はライブ配信され、オンラインでの参加もあった。
集会を主催する日本民族総福音化運動協議会は、若者たちが明日の希望を見いだすことのできない精神の危機に置かれている日本の国と民族を、キリスト教信仰によって再建しようと、2003年に超教派の有志によって結成された。日本のクリスチャンが教派や教団の壁を超えて日本の救いのために立ち上がることを目指し、日本の歴史や伝統に文化適応した福音の提示を積極的に行っている。
同協議会の奥山実顧問(宣教師訓練センター所長)は冒頭のあいさつで、マタイの福音書24章14節「この御国の福音は全世界に宣(の)べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます」を引用。「イエス様は、全世界の人が皆クリスチャンになったら世の終わりが来るとはおっしゃらなかった。全世界の人が福音を聞いたら、世の終わりと言う。民族総福音化、これが日本のすべての教会がやるべきことで、世界の教会がやるべきこと」と語った。
杣氏は、個人伝道のきっかけ作りとして20年ほど前から、日本の文化と聖書との関連性をテーマに研究を続けている。大和言葉とヘブル語の間に類似性が多く見られることを切り口に聖書の教えをB4サイズ1枚にまとめたトラクトを、いつでも人に渡せるように持ち歩いている。共通理解のある日本の文化に関連させて聖書の話をすると、最初は宗教に興味を示さなかった人でも聖書に関心を持つようになる確率が高いという。杣氏はこの方法で、これまでに多くの人々を救いへ導いた。
杣氏はトラクトを作成するに当たり、勉強好きという日本人の特性に合わせて、聖書に関する記述にはすべて根拠となる聖書箇所を記した。すると、自ら聖書や関連の書籍を買い求めて調べるうちに、信仰を持つようになったケースが多くあったという。「御霊の働きは素晴らしい」と神に栄光を帰した。
杣氏の研究対象は日本にとどまらず、今や世界の宗教と文化に広がっている。英語の論文も発表しており、2015年にはモルドバ国立教育大学から名誉博士号を授与された。「世界の文化は聖書から」というのが、これまでの研究から杣氏が導き出した結論だ。「イエス様がおっしゃるのは、神を愛し、隣人を愛しなさいということ。皆を尊敬し、大切なものとして取り扱いながらお話しすることが伝道の基本ではないか。相手とコミュニケーションを取りながら、お互いに間違っていれば正していきましょうという姿勢でやっていくことが、日本のリバイバルに生かされるのではないか」と話した。
同協議会の手束正昭総裁(日本基督教団高砂教会元老牧師)は、「私たちはキリスト教というと西洋から来たもので、日本は異教の国だという思い込みの中にあった。しかし、多くの西洋人が言うのは、日本人は聖書を知らないはずなのに、どうして自分たち以上にキリスト教的な生き方をするのかと。それは、日本人の根底にキリスト教のDNAがあるからだと私は見ている」と語った。その上で、「そのDNAに触れる宣教を私たちが模索し、作り上げていくときに、一挙に日本の国がキリスト教化されていくのではないか。日本民族総福音化運動は、そういうところを大胆に探っていく」と話した。