「あなたがたがキリストのために受けた恵みは、キリストを信じることだけでなく、キリストのために苦しむことでもあるのです」(ピリピ1:29)
ある男性が、歳のせいか最近夜中に起きてトイレに行くようになりました。ある朝、起きると妻に言いました。
「夜中に起きてトイレに行ったんだけど、トイレのドアを開けたらパッと電気が点いたんだ。そして用を足してドアを閉めると、勝手に電気が消えたんだ。家のトイレっていつから自動点灯式に変わったんだい?」
それを聞いて妻は憐(あわ)れむように言いました。「あなた、また冷蔵庫を開けてオシッコしたのね」
もう一つ、トイレネタを紹介します。
2人の初老の男がトイレでばったりと出会いました。
「いやー久しぶり、元気でしたか?」「元気とは言えませんね、最近ボケてしまったのか、こうして用を足した後、ズボンの前のジッパーを上げるのを忘れていて注意されることがありますよ」
「あなた、それならまだ良い方ですよ。私なんかズボンのジッパーを下ろすのを忘れてオシッコをしてしまうことがあるんですから」
「ぼける」を辞書で引くと「頭の働きや感覚が鈍くなる。ぼんやりする。もうろくする」とあります。「幸福ボケ」とか「平和ボケ」という言葉もあります。「幸せ」や「平和」という状況に長くいると、それが普通だと思ってその状況に感謝したり、感動したりすることがなくなってしまっている状態です。
クリスチャンがしばしば陥る罠(わな)は「恵みボケ」です。イエス・キリストの福音を信じ、救いにあずかることによって罪の赦(ゆる)し、死に対する恐れからの解放、天国の希望、心配や思い煩いからの解放など多くの恵みにあずかります。そして、その状況に安住してしまい、その安住に挑戦するものの一切を拒否しようとします。しかし、イエス・キリストと共にある人生は、戦いの歩みだということも忘れてはなりません。
パウル・ゲルハルトは、ドイツ史上最高の宗教詩人といわれます。69年の生涯で132の賛美歌を作っています。彼の人生は苦難の連続でした。彼は1607年にヴィッテンベルグ近くの小さな町に生まれました。その翌年「30年戦争」が勃発し、ドイツは戦場となり荒廃します。
彼は大学で神学と聖歌学を学びましたが、戦乱の中で定職がなく、家庭教師をしながら生計を立てます。恋人もできましたが、貧困のために結婚もできずにやがて別れます。
35歳の時、牧師の職に就き、やっと結婚をし4人の子どもに恵まれますが、3人の子どもを病気で次々と失い、結婚13年目に最愛の妻にも先立たれます。彼の生涯は悲劇の連続でしたが、逆境の中にあっても作詞をやめませんでした。「彼の詩は喜びの中で生まれたものではなく、大概の人なら失望して泣き叫ぶような中から生まれたものである」といわれます。
彼が最後に牧師をしたリュッペン村には、彼の銅像が建てられて、その銘に「サタンのふるいによってふるわれた神学者」と記されています。彼の代表作「あなたの道を」(讃美歌21、528番)、この詞は彼の不屈の信仰をよく表したものだといわれます。
1あなたの道を 主に任せて 思いわずらい 主にゆだねよ
雲と風にも 道を示す 神は歩みを 導かれる2どんな時にも 道を備え あなたのわざを 神は祝す
いつもあなたの 先に進み 光を照らし 導かれる3悪が支配し おどす時も 先立つ神は 戦われる
目標めざす あなたのために なすべき務め 与えられる4走るべき道を 走り終えて 栄光のみ国へ 帰るその日
勝利の冠 与えられて 喜びの歌 共に歌おう
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