牢(ろう)にいる人たちは、愛するに値しない人ですか――。昨年11月に日本を訪れたローマ教皇フランシスコの問い掛けに応えようと、「受刑者とともに捧げるミサ」が17日、カトリック麹町教会(聖イグナチオ教会、東京都千代田区)で行われた。出所者の社会復帰を助けるNPO法人「マザーハウス」(五十嵐弘志理事長)が主催し、カトリック東京大司教区の菊地功大司教が主司式を務めた。
事前にマザーハウスと交流のある約800人の受刑者にミサの式次第を送付。当日の手違いでライブ中継はできなかったが、ミサの模様をユーチューブで配信した。五十嵐さんは冒頭のあいさつで「祈りとは愛。愛とは実践で、知ることも愛につながる」と語り、出所者の社会復帰に関心を持つとともに、犯罪に巻き込まれた人々のために祈ってほしいと呼び掛けた。
菊地大司教は説教の中で、「教会は無償のあわれみの場でなければならない。すべての人が受け入れられ、愛され、赦(ゆる)され、福音に従う良い生活を送るよう励まされると感じる場でなければならない」との教皇フランシスコの言葉を引用。異なる存在を排除することや他者を裁くことではなく、「いつくしみをもって傷を癒やすための行動を取る」という判断基準が必要だと説いた。
一方で、「神のいつくしみは、ただただ優しければそれでよい、何でもかんでもとがめることなく赦せばよいと言っているわけではありません。犯した罪に対する責任を免除するものでもありません」と指摘。「そのことを踏まえながら、過去を省み、赦しを求めている人に善なる道が示されるように祈りたい」と話した。
さらに、犯罪被害者の心と体の癒やしのため、被害者と加害者双方の家族の癒やしと生きる希望のため、また、受刑者や被害者に支援の手を差し伸べようとする多くの人々のために心から祈りたいと述べた。