「現世利益を中心に動いている宗教が多くあり、信じるものは何でもよいという立場に立つことがいやでした」。日本人牧師の著者が、「正しい宗教、教えは何なのかを判断できる知恵の一助となれば」と、日本人の信じる宗教の「常識」に素朴な疑問を投げ掛け、本当の宗教とは何かを平易な言葉でつづっている。
著者名の「アブシャロム・ヤコブ」はペンネーム。牧会経験豊富な70代の牧師だが、外国人が日本の宗教を見ておかしいと感じたことを書いたような構成にしたかったという。「一般の日本人が今信じているあらゆる宗教や占い、パワースポットなどと言われている所が、何の由来も歴史もない、人間の想像でつくり出された神ならぬ偶像であること、また本来の教えから歪曲され、偽られたものであることに気付いてほしい、そして真実の神が存在するということに目が向けられることを願って書いてあります」
六曜やお守り、お盆、地蔵、お墓、戒名、仏壇、天国と地獄の由来など、日本古来の習俗や宗教の起源を一つ一つ調べ、その矛盾を分かりやすく説明している。新興宗教については、「霊の存在を信じさせ、脅してやればよい」「教えが常識はずれであればあるほどよい」といった警戒すべき教祖の手口を解説。「欲があると引っかかる」「願いを聞く神仏が良いとは限らない」など、偽宗教に惑わされないためのポイントもまとめている。
「願わくは、この小文を通じて科学的に宗教を考えてくださり、『本当の宗教』とは何かに目覚め、愚かとも言える占いや迷信、ねつ造された心霊写真などに心が動揺させられないで、日常生活を謳歌(おうか)し、幸せな生き方ができる、そんな方々が数人でも生じていただければ幸いです」
■ アブシャロム・ヤコブ著、高原幸男監修『本当の宗教の見分け方』(イーグレープ、2020年2月)