消費者庁は9日、ネットワークビジネスと呼ばれるマルチ取引(連鎖販売取引)を手掛ける健康食品販売会社「ナチュラリープラス」(東京都港区)に対し、事実と異なる効能を告げて勧誘をしていたなどとして、特定商取引法違反で新規勧誘などの一部業務を9カ月間停止するよう命じた。
発表によると、ナチュラリープラスは健康食品「スーパー・ルテイン」や清涼飲料水「IZUMIO(イズミオ)」などを販売。「1カ月飲み続けるとどんな病気でもよくなる」「2人紹介して、片方の人が何ポイントかになると、月に20万から50万円くらいになりますよ」などと、事実とは異なる説明をして勧誘し、断る消費者に対しても執拗に勧誘を続けるなどして、契約を結ばせていたという。
認定された違法行為は、▼勧誘目的等不明示、▼商品の効能に関する不実告知、▼重要事項不告知、▼特定利益に関する不実告知、▼公衆の出入りしない場所での勧誘、▼迷惑勧誘の6つ。
このうち、「商品の効能に関する不実告知」では、「心筋梗塞とか動脈硬化が治る」「医者からもうこれ以上、手の施しようがないと言われた病人がスーパー・ルテインを飲んだら病気が治った」「がんにも効く」などと、事実とは異なる説明をして勧誘していたという。
停止が命じられた業務は、新規勧誘と申し込み受付、契約締結で、期間は今年3月10日から同12月9日までの9カ月間。消費者庁はまた、ナチュラリープラスに対し、スーパー・ルテインとイズミオには病気の治療や予防、症状の改善ができるような効能はないことを、それぞれの購入者に4月9日までに通知するよう命じた。
ナチュラリープラスをめぐっては、消費者庁が昨年4月、東京と大阪の事務所2カ所に立ち入り調査を実施。ナチュラリープライスはこれを受け、新規会員の登録と勧誘を同年5月〜6月中旬、自粛する対応を取るなどしていたが、問題ある勧誘行為が改善したとは言い難いとして、今回の一部業務停止が決まったという。
消費者庁は発表で5つの事例を紹介しており、それによると、ナチュラリープライスの勧誘であることを告げずに、飲食に誘った上でナチュラリープライスのセミナーに誘ったり、セミナー講師が「初めに2人友達を紹介さえすれば、あとは紹介した人がまた2人とどんどん増やしていくので、自分は何もしなくても必ずもうかるビジネスです」などと説明していたという。
時事通信によると、ナチュラリープラスは「処分を厳粛に受け止め、業務改善を徹底する」とコメントしている。