イエス・キリストが成長したとされるイスラエルのナザレの町では、11日に行われる「世界病者の日」のイベント準備が進んでいる。「世界病者の日」は、ローマ・カトリック教会が体の弱い人やその世話をする人々を覚える日だ。
このイベントではイスラエルの複数の町で、病気の人々に対する塗油の秘跡など、さまざまな典礼が行われる。ノートルダム・エルサレムセンターでは、終末期患者のケアに関する倫理的な課題などについてディスカッションが行われ、国際的な専門家が出席する予定だ。
ナザレは「世界病者の日」の主催地として教皇フランシスコにより選定された。教皇は昨年9月、「病気、とりわけ重い病気は、常に人間の存在を危機にさらし、根本的な問いを生じさせます。私たちの最初の反応は、時には反抗的かもしれません。『どうしてこんなことが私に起こったのだろう』。そして、私たちは絶望し、全てが失われたと感じ、もう何も意味がないと思うことでしょう」と語っている。
教皇は、このような状況下では人々の神に対する信仰が試されているだけでなく、信仰の前向きな力が明かされる機会を作るとも述べた。
「それは、信仰によって病気や痛み、さらにはそれによる問題が無くなるからではありません。信仰は、私たちが体験していることのもっとも深い意味を見いだすための鍵を与えてくれるからです。病気は、十字架を担って私たちの傍らを歩いておられるイエスにさらに近づく道になり得ることを、その鍵は私たちに教えてくれます」
病者を記念するこの日は、病気に苦しむ人々が増えることを受け、1992年5月13日に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世により定められた。教皇フランシスコの前任者ベネディクト16世は、2013年の「世界病者の日」に、健康上の理由で教皇を辞任することを表明した。
ナザレはイエスが成長した町として、キリスト教徒にとっては特別な意味を持つ。
1880年代、修道女の一行が石灰石の陶器を含む中庭のある家を発見した。考古学者はそれを1世紀のものとし、英国レディング大学のケン・ダーク教授など一部の専門家は、イエスと家族が生活を営んでいた家である可能性があると指摘した。