政府に対して平等な権利を求めるために、かつて「不可触民」と言われ現在では「ダリット」と呼ばれるカースト出身のキリスト教徒たちが、全国規模の集会を3月に開催しようと計画している。
インドの日刊紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」によると、ダリット出身のキリスト教徒たちが会合を行い、カースト制に抗議する集会を3月にニューデリーで開催しようと計画している。ダリットは政府からの保護を受けるが、それは主としてヒンズー教の背景を持つ人々だ。
「ダリット・クリスチャン国民評議会(National Council of Dalit Christians)」のアドバイザー、E・D・チャールズ氏は、インド国民会議派と与党のインド人民党(BJP)が、キリスト教徒のダリットにも平等な権利を与えることを検討しなかったと非難した。
チャールズ氏は2007年のランガナス・ミシュラ判事の勧告を引き合いに出し、「インド国民会議派が政権を握っていたときも、現在のインド人民党政権も、この件について何の行動も起こしていませんし、報告を棚上げしています。この国において、多様化の中での一致の原則と宗教的、言語的少数派の権利は、ただ名ばかりだということは明白です」と指摘した。
国際キリスト教コンサーン(ICC)は、低カーストのキリスト教徒とイスラム教徒は数年にわたり政府の保護の対象から外されており、ヒンズー教徒、仏教徒、シク教徒は保護されていると指摘した。キリスト教系の活動家は、ヒンズー至上主義者がキリスト教とイスラム教を反インド的な宗教だと見なしているため、政府がその信者を除外していると述べた。
ICCは2014年12月、約2500万人いるキリスト教徒のダリットが、政府の保護を受けるか信仰を続けるかの選択を強制されたと明らかにした。
当時ICCは、「このような選択をさせることは、インドの市民が自由に自身の宗教を選択する憲法上の権利を侵害しています。また、数百万人ものダリットに対し、イエスに従うか、それとも、家族を貧困から救える政府に従い、その保護を受けるかを選ばせることになります。これらの差別によって、インドの宗教的な状況に対する他国の視線は厳しいものとなっています」と報じた。
ダリットはインド国内で差別と貧困に直面しており、カースト制の束縛から逃れるためにキリスト教へ改宗する人が多くいる。
カースト制についての議論は悲劇を生み続けている。昨年10月にファリダバドのサンペッド村で起きた事件では、ダリットの子ども2人が生きながら焼殺された。
インド・カトリック司教会のデヴァサガヤ・ラジュ神父は、この事件を「非人間的な行い」と非難し、「インド人の中で最も貧しく、最も弱く、最も小さい人たち」に対するこうした襲撃は、インドのあらゆるところで起きていると語った。
ラジュ神父は、「インドのカトリック教会は最も弱い人々と共に立ち、退けられた人々と貧しい人々への保護と尊厳を守ることを、政府と社会に対して呼び掛けます」と話した。