桜美林大学(東京都町田市)の教職員有志の会は24日、安保関連法案の廃案を求める声明を、「安全保障関連法案に反対する学者の会」のウェブサイトで公表した。また、酪農学園(北海道江別市)の有志も、「安全保障関連法案に反対します」と題する文書を発表した。
桜美林大の教職員有志の会は声明で、「安全保障関連法案の根本的な問題は、憲法違反であり、立憲主義の根幹をゆるがすものであることです」と述べるとともに、「『民意の無視』という、民主主義の根幹にかかわること」と、「憲法学者の多くが『違憲』であると述べていることを無視していることに典型的に表れている『反知性主義』」という2点において、「国民的審判を下されなければなりません」としている。
また、「桜美林学園の創立者清水安三(1891~1988)は、『日本国民は、世界にかつてない非攻戦主義のパシフィックな憲法を持っている』と日本国憲法に言及し、キリスト教主義に基づく国際人の養成をその建学精神として掲げました」と振り返っている。
そして、「立憲主義、日本国憲法を守り、平和を守る立場から、私たちは、日本の若者を戦場に送ることにつながりかねない安全保障関連法案に反対します。そして、武力によらない平和の構築を世界の人々との連帯で実現していくことを、改めて私たちの理想として掲げ、その責任の自覚をもって、大学人として日々の研究と教育活動に専心したいと思います」と結んでいる。
一方、酪農学園の有志は、「わたしたちは、安倍政権の『安全保障関連法案』審議の進め方に強く抗議するとともに、違憲性が明らかなこの法案が速やかに廃案となることを求めます」としている。
「わたしたちの勤務する酪農学園にも、多くの学徒を戦地へ送った歴史があります。その痛恨の歴史を踏まえて、本学は『神を愛し、人を愛し、土を愛する』という三愛精神と、それにもとづく『健土健民』を建学の精神として掲げています」とその理念を述べるとともに、「これは聖書の『主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤(すき)とし、槍(やり)を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない(イザヤ書2章4節)』の具現化であり、わたしたち酪農学園に集う教職員は、戦争の歴史に対する深い反省から、国際平和を希求してきました」などと記している。
その上で、「わたしたちは、これまでと同様に、わたしたちの国が『あらゆる個人の命と権利を価値あるものと認める国』であり続けることを、強く望んでいます。教育を担う機関として、若者たちを戦地に送ることにつながる『安全保障関連法案』を容認することは決してできません」と強調している。
8月に発表されたこの文書には発表の日付は記されていないが、これまでに賛同者が83人に上ることが記されている。