『どんなことにもくよくよするな!』(イーグレープ出版)の著者、佐々木満男弁護士のコラムを連載します。ラジオ大阪で現在放送中の人気番組「ささきみつおのドント・ウォリー!」(放送時間:毎週土曜日朝11:45〜、インターネットhttp://vip-hour.jp/で24時間無料配信中)でこれまでに放送された内容を振り返ります。「ミスター・ドント・ウォリー」こと佐々木弁護士が、ユニークな視点から人生のさまざまな問題解決のヒントを語ります。(Amazon:どんなことにもくよくよするな!)
「そうじ力」ということばが流行っています。「そうじ」に関する本がたくさん出版されています。あなたはどうですか?「そうじ力」を身につけていますか?「そうじ」や「片づけ」は私の大の苦手です。事務所も自宅も、ちらかり放題です。一応そうじはしてもらっていますが、書類や物が床に置かれてたり、乱雑に棚に積まれたりしています。
ちょっとした書類や物を探すのに部屋中をひっくり返して、とんでもない時間と労力をかけてしまいます。そして、結局見つかりません。半年位たって、別の書類を探している時に、前に探していた物が偶然見つかったということがよくあります。時々思い立って、「そうじ」したり「片づけ」を始めるのですが、疲れて途中でやめてしまいます。
「そうじ、片づけ大好き」という人もいますね。その人の部屋に行くとすべてがきれいに整っています。気持ちがいいですねえ。高級ホテルの部屋のようにすべてが整然としているのです。そういう人は探し物に苦労したことなんかないでしょう。「あなたの部屋はどうしてこんなにきれいなのですか?」と聞くと、「毎日時間をかけてそうじしているからですよ。部屋をきれいにしないと気持ちが悪いんです」という答えが返ってきます。
コツは2つあるようですね。
第一に、毎日時間をかけてそうじすること。思いついた日にやってもだめなんです。「そうじ」にちゃんと時間をかけないで、2,30秒でちょこっとやって「そうじ」してもだめなんですね。「そうじなんか、たまにやればいい片手間仕事だ」としないで、これを毎日の生活の重要な部分とすることなんですね。
第二に、そうじをしないと気持ちが悪いと思うようになること。私なんか鈍感力が強すぎて、そうじしなくても全く平気です。部屋が乱雑にちらかり放題でも気持ち悪くならないんです。もちろんきれいな部屋に入れば気持ちがいいなと思います。ほかの人のきたない部屋に入れば気分が悪いです。ところが、自分の部屋になると、きたなくても平気なんですね。だから、そうじをして片づけようという強い気持ちが湧いてこないのです。「そうじをするなんて時間の無駄だ」と、つい思ってしまいます。
でも、たまにそうじや片づけをすると、「そうじって大事なことなんだな」と必ず思います。ずっと探していた物が見つかったりしたらうれしいです。時が過ぎていらなくなった物がけっこうたくさんあります。不要な物が部屋のあちこちを占領して、大切な物の置き場を狭くしていたこともわかります。そうじしたら気持ちがよくなって、新しく生きる力が湧いてきます。
「そうじ」が大嫌いで「そうじ力」のない私のような人は、どうしたら「そうじ」ができるようになるのでしょうか。「そうじ力」を身につけるために、私はある決心をしました。
「毎日一つ物を片づける」ということです。意識して、不要になった物を一つゴミ箱に捨てる。使った物を一つでもいいから元の場所に戻す。こんなことを実行しています。こんな小さなことでも、やってみれば気持ちがいいものです。習慣になればきっと、「やらないと気持ちが悪い」と思うようになるのでしょう。
ところで、「自分の部屋のそうじ」も大切ですが、「自分の心のそうじ」はもっと大切だと思うんですね。自分の部屋がちらかっているのは見ればすぐわかります。でも、自分の心がいろいろなガラクタで占領されていたり、思いの中で大事なことが粗末にされていることには、なかなか気づかないものです。
「最近なんだか気持が落ちつかない」、「よくわからないけど、大事なことを忘れているような気がする」、「このところヘマばかりして人とぶつかってしまう。一体どうなっているんだろうか」と思うことがよくありますよね。こんな時は、自分の心がきれいにそうじされていない証拠です。一人で静まる時間を持って、自分の心の部屋を客観的にのぞいてみましょう。気になっていることを、箇条書きで1つ1つ紙に書いて、心の中を整理してみましょう。
「ああ、こんな大切なことを忘れていた」、「なんだこんなくだらないことにこだわつていたんだ」と、はっきりわかるようになりますよ。聖書には、「あなたの内側をきれいにすれば、あなたの外側もきれいになります」と書かれています。
あなたの心の部屋をそうじする力を身につけましょう。
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。