玉川聖学院の校外授業「インターナショナルデー」が13日、東京・代官山にある世界50カ国以上から人々が集う東京バプテスト教会で行われた。インターナショナルデーは同学院中等部の3年生を対象とした体験型の授業で、今回で12回目。約120人の生徒が手作りのパスポートを手に、チームを組んで国に見立てたブースを回り、英語を使って各国の風土や食べ物などの文化を学んだ。
玉川聖学院は今年で創立65周年を迎える中高一貫の女子校。新約聖書のコリント信徒への手紙一13章13節を基にした「信仰・希望・愛」の3つを柱とし、使命感を持ち、周囲に左右されずに自由な心で世界のために働く女性の育成を目指している。学年ごとにテーマを定めた教育を行っており、中等部3年生のテーマの一つは国際教育。体験をベースにした国際教育として、東京バプテスト教会と協力し、毎年インターナショナルデーを行っている。
「何かを“勉強”するより、何かを体験することで本当の学習ができる。それができる方法を模索して、インターナショナルデーを始めました」と話すのは、同学院のバーナード・バートン理事長。初めは学校に教会のチームを呼んで行っていたが、教会とのより強いつながりを結べるようにと、4年前からは会場を教会に移して行っている。
この日はイベントに先立ち、同教会のユースチームのリードで、教会オリジナルのワーシップソング「AMAIZING」を賛美。デニス・フォールズ主任牧師が、ヨハネによる福音書3章16節から、「私たちの教会では、宗教ではなく、私たちを愛してくれているイエス・キリストという神様と関係を築くことを教えている」とメッセージを伝えた。ユース担当のクリス・マカトリー牧師によるゲームもあり、生徒たちの緊張をほぐしてからイベントが始まった。
「生徒たちは楽しいと言ってくれている」とバートン理事長。「生徒たちがクリスチャンの多様で国際的な文化を体験することで、視野が広がることを願っています」と期待を語る。また、「それと同時に、多くの日本人が想像するような閉鎖的で若者が楽しいと思えないようなものが、“クリスチャンのスタイル”ではなく、若者も含めてさまざまな人たちが集まって元気に歌う賛美や、彼らのクリスチャンとしての生き方を見て、信仰に対してもオープンになってほしい」と言う。
今回、出展したブースは、カナダ、米国、メキシコ、ジャマイカ、マダガスカル、エチオピア、フランス、インド、中国、フィリピンの10カ国。コミュニケーションは全て英語で行われ、各国出身の教会のボランティアたちが、自作したブースで民族衣装や伝統的なお菓子、代表的な観光地などを紹介した。また、教会で普段どんなことを行っているのかを紹介するブースも設けられ、生徒たちに同教会オリジナルのワーシップソングが入ったアルバムをプレゼント。教会のボランティアと生徒たちの間で、聖書についてカジュアルに話し合う時間も持たれた。普段英語に自信のない生徒たちも、“暗記した英語”ではなく、“英語を使ったコミュニケーション”を行ううちに自信を持って話すようになっていった。
昼食の時間には教会からサンドイッチが振る舞われ、生徒や教師、教会に通うクリスチャンが垣根なく会話を楽しんだ。今回、フランスのブースを出展した桐山スミレさん(30)は、玉川聖学院のOG。在学中に同様のイベントに参加したことをきっかけにクリスチャンとなり、今は後輩たちにコミュニケーションの楽しさを伝える側にいる。教会と学校が協力するイベントでは、このような事例は決して珍しくはないという。「生徒は当学院を6年で卒業していく。しかし、思春期のこの6年で神様と関係を築いて、神様を“卒業”しない人になってほしい」と、バートン理事長は笑顔で語った。