世界のキリスト教団体などが加わる国際的な運動「エクスポーズド・キャンペーン」は16日、G20(日米欧など20の国と地域)が腐敗や非倫理的な脱税、および金融の秘密保持に関する重要な問題に取り組む行動を取るとしたことを歓迎した。同運動はこれらの問題によって世界経済から何十億ものお金が「盗まれている」としている。
ブリスベン・サミットで16日に発表された共同宣言の最終版で、G20の指導者たちは、税に関する情報を共有するための規則を実施し、利益が得られたところでそれに課税することで、利益移転を防ぐための規則を実施するとともに、発展途上国が税に関するこれらの計画を実施するのを助けると述べた。
腐敗に光を当てようとしている150カ国以上のキリスト教団体や教会の連合体であるエクスポーズド・キャンペーンは、お金の透明性を高めるための次の措置が行われることを歓迎している。この運動は2年間にわたって市民生活のあらゆる側面に関わる腐敗の問題に取り組み、すでに25万人を超える人たちが脱税や汚職などの非倫理的な慣行を明らかにするために行動を起こしている。
エクスポーズド・キャンペーンの代表者であるジョエル・エドワーズ牧師は、ロンドンで次のように語った。
「G20が約束したことを歓迎するのは、腐敗がとりわけ世界中の貧しい人たちに危害を及ぼしているからだ。税の取り引きや世界中の収入の移転、そして租税回避地の利用のために、資源の豊かな国々は何十億ものお金を失ってきた。今やG20は、このような振る舞いは盗みであり、やめなければならないという、はっきりとしたメッセージを送ったのである」
一方、各国がこれらの措置を実施するにあたって、これは問題の終わりではなく始まりであると、同運動は述べている。
エドワーズ牧師はG20の指導者たちに対し課題も投げ掛けた。「私たちは向こう数カ月のうちに各国が具体的な行動を起こすのを見届ける必要があり、もちろん情報が公表されることを望む。そうでなければこの透明性に関する規則は富裕な国々の利益となるだけである」
共同宣言では、多国籍企業や個人が税金をほとんどあるいは全く払わないという結果をもたらしかねない、非倫理的な振る舞いを断つための4つの重要な方法について述べられている。
1つ目は利益が生み出されたところでそれに課税することであり、例えば鉱山開発の会社が鉱物を抽出した国で公正な税金を支払う場合である。G20は、一部の多国籍企業が地球規模の収入に対する税金をほとんどあるいは全く払わないことを意味する税源浸食と利益移転(BEPS)をやめさせるための行動を起こすとしている。これには租税回避地のような「危害をもたらす税の慣行」をやめさせることも含まれている。
2つ目の措置は各国政府による自動的情報交換制度(AEOI)であり、これはすでに92カ国によって実施されている。G20は発展途上国が参加できるようにするためのそれらの国の能力構築を約束している。
3つ目は、会社の利益を「本当に」得ているのが誰なのかが分かるように、G20諸国が会社の実益株主に関する情報収集を改善するための行動を起こすこと。
4つ目は、石油・ガス・鉱物資源の開発などの採取産業が直面している特別な腐敗の危険性を特定し克服するための新しい計画であり、エクスポーズド・キャンペーンはこれを歓迎するとしている。
ブリスベンで、公開書簡とグローバル・コール(地球規模の要求)14万8000人による署名を手渡したエクスポーズド・キャンペーンのアマンダ・ジャクソン氏は、「腐敗は秘密保持の上に大きくなるが、G20による約束によって隠すことが難しくなるだろう。しかし私たちはこの情報を利用できるようにする必要があり、それが次の措置だ」と述べた。
G20による決定は、腐敗と税金の問題に関するG20の委員会やOECD(経済協力開発機構)の2年間にわたる活動の成果であり、ブリスベン・サミットは、腐敗に光を当てるエクスポーズド・キャンペーンの運動の頂点を示すものであると、同運動は述べている。