米ピュ-リサーチセンターの最新報告書によると、自身がユダヤ人であるアイデンティティを「宗教」に結びつけていない青年ユダヤ人が増加しているという。3日、米クリスチャンポスト紙(CP)が報じた。
ユダヤ人青年層において特に顕著であるこの傾向について、メシアニック・ジュー(キリスト教を信じるユダヤ人)の学者らの間で「福音宣教の契機である」という認識がなされている。
メシアニック・コングリゲーション連盟(UMJC)常任理事のラス・レスニック氏によると、ユダヤ人青年層の中で自身がユダヤ人であることの宗教的認識が薄れていることは「本当の問題でもあるが、同時に契機でもある」という。
同氏は3日、米CPの取材を通じて「イスラエルで驚くほど世俗化が進んでいるのは問題ではあります。しかしその結果、たくさんのユダヤ人が歴史的にイエスを救世主と見なさないできた宗教的枠組みの型にはめられることなく成長しています」と説明した。
調査によると、18歳から29歳までのユダヤ人青年層のうち73パーセントもの人々が「神を信じていない人でもユダヤ人を名乗れる」と考えており、66パーセントがユダヤ人であることは血筋や文化によって認識されるものであり、宗教によって認識されるものではないと考えていることが示された。ユダヤ人であることに宗教的理由を位置づける青年層の割合はわずか13パーセントにとどまった。
全英クリスチャン・カレッジでヘブル語聖書を教えているメシアニック・ジュー講師のリチャード・ハーヴェイ氏は米CPの取材に対し、「この結果はユダヤ教という宗教への不満足感をあらわにしています。しかし他宗教の米青年層と比べても同様なことが言えるのではないでしょうか」と伝えた。
ハーヴェイ氏はさらに、このようなユダヤ人青年層の世俗化傾向は、キリスト教宣教の契機であると言及した。ユダヤ教へのユダヤ人青年層の関心が薄まり、シナゴーグ(ユダヤ人の集会)が軽視されるようになるにつれて、「彼らは所属意識に飢えています。生きる目的、共同体やアイデンティティを知りたいと思っているのです。私たちイエスを信じるユダヤ人は、このような青年たちをイエスを信じる道に関わらせていく模範を示していくべきです。メシアニック・ジューにとって、このような宗教に対する所属意識が薄い青年たちとどのように関わっていくかというのが大きな課題となっています」と述べた。
ハーヴェイ氏は、ユダヤ人青年層の伝道のために、すべてのクリスチャンが彼らの世代をキリスト教に結びつけるのに関連の深い言葉を使って接していくべきだと勧めている。
UMJC理事長のカーク・グレーべ氏は、クリスチャンの使う独特な言葉はユダヤ人青年層への福音宣教の弊害にもなり得ると指摘し、「アメリカのクリスチャン団体の大部分で使われているキリスト教用語は、ほとんどの人たちにとって理解ができないものです。世俗化された若者たちが必要とする言葉はよりシンプルで明確に神学的なポイントをついた言葉であるといえるのではないでしょうか。本当にイエスを信じる人は魅力的であり、何か強く訴えるものがあります。それはユダヤ人にとっても、世俗化された他の人々にとっても同じではないでしょうか」と述べた。
さらにレスニック氏は「イエスを信じる人たちを取り巻く『宗教性』がかえって人々を退けているのではないでしょうか」と指摘した。
グレーべ氏およびレスニック氏は、米主流メディアがイエス・キリストについて正確に伝えようとしていないと批判している。
ユダヤ人伝道についてグレーべ氏は、「もっとも効果的な方法は新約聖書についてユダヤ人に伝えることです。福音書はもっともイエスの人間性を良く説明しています」と伝えた。