【CJC=東京】「世界青年の日」(WYD)リオデジャネイロ大会出席を目的に7月22日からブラジルを司牧訪問していた教皇フランシスコは29日、バチカン(ローマ教皇庁)に帰着した。
バチカン放送(日本語電子版)などによると、22日午後4時、リオデジャネイロに到着した教皇は同日、グアナバラ宮殿で行われた歓迎式で、最初の海外司牧訪問で愛するラテンアメリカの地に帰ることができた摂理を神に感謝した。
23日を予定通り宿舎で休養した教皇は、24日午前、サンパウロ州東部にある重要な巡礼地アパレシーダに向かい、聖母巡礼聖堂でミサを捧げた。「アパレシーダの聖母」は、ブラジルの保護者として信者たちの心のよりどころになっている。
ミサの終わりに教皇は巡礼聖堂のバルコニーから、聖母像を手に人々に祝福を与え、アパレシーダの聖母発見300周年を迎える2017年にこの地に戻りたいと話した。
教皇は25日、リオデジャネイロ郊外にある「ファヴェーラ」(スラム街)の一つマンギニョス地区で、住民らと交流した。近年のファヴェーラ再生計画の対象であるこの地区では、行政やカトリック教会などの協力のもと、住民の生活環境や治安の向上を目指す努力が進められている。
教皇の車は住民たちの大歓迎を受けた。所狭しと並ぶ住宅にはさまれて建つ極めて簡素な聖堂、サン・ジロラモ・エミリアーニ教会の前で教皇は車を降り、マルシオ・ケイロス主任司祭やこの地区で奉仕する「神の愛の宣教者修道女会」関係者らに迎えられた。
教皇は、主任司祭の案内を受けながら、マンギニョス地区の一部を住民との集いが行われるサッカー場まで歩いた。サッカー場で行われた教皇と住民たちとの出会いでは、この地区で共に生まれ育ち結婚したという若い夫婦が、皆を代表して歓迎の言葉を述べた。住民たちによってリサイクル素材を使用して作られた教皇フランシスコの紋章が、額に入れられ教皇に贈られた。
教皇は、社会の不正を前にして現実に失望しがちな若者たちに「希望のともし火を消してはなりません。現実は変えることができます。人間は変わることができます。悪に慣れることなく、それに打ち勝ち、皆さんが最初に善をもたらす人となってください」と励ました。
教皇は同日夕、コパカバーナ海岸で若者たちによる歓迎式に出席した。世界青年の日大会中の教皇参加の最初の公式行事とあって、会場となった4キロにわたる海岸沿いには100万人以上の若者が詰め掛けた。
イエスがわたしたちを受け入れるならば、わたしたちもイエスを受け入れる必要があると若者たちを促した教皇は、イエス・キリストと御言葉、聖霊を受け入れることで、変容され、未来の歩みを照らされ、自分の中に希望の翼を育てることができると説いた。
教皇は、ブラジルで言う「信仰を置く・入れる」という表現を若者たちに紹介。料理を美味しくするために塩・油を「入れる」ように、自分の人生の中に「キリスト」と「信仰」を、さらに「愛」と「希望」を入れるならば、人生は新たな味わいを、その未来の歩みはしっかりとした指針と照らしを得るだろうと語った。
教皇は26日午前、リオデジャネイロ市内のキンタ・ダ・ボア・ヴィスタ公園で、若者たちに赦しの秘跡を授けた。
その後、教皇は大司教館で若い受刑者たちと会見した。WYDのTシャツを着た、リオの少年刑務所で受刑中の6人の少年と2人の少女は、今回特別な形で世界青年の日に参加することとなった。教皇は少年たちを優しく迎え、「暴力は決していけません。愛だけですよ」と何度も繰り返した。
続いて、正午に大司教館のバルコニーからアンジェラスの祈りを唱えた教皇は、この日の昼食をWYD参加の若者12人と共にした。
若者たちとの会話で、教皇は特に、一人で閉じこもらず、共同体というものを意識して生きるよう勧め、神はわたしたちを特別な愛で愛され、わたしたちの使命は他人を愛することにあると強調したという。
教皇は26日夜、コパカバーナで若者たちと共に十字架の道行きを行った。参加した若者の数は150万人に達した。世界青年の日大会の中で十字架の道行きは、恒例の重要行事となっている。
教皇は、世界青年の日のシンボルとして使われている木の十字架について言及。「WYDの十字架」とも呼ばれるこの十字架が、1984年「贖いの聖年」閉幕後、ヨハネ・パウロ2世によって若者たちに託され、その後様々な世界を旅したことを思い起こした。
教皇は27日夜、世界青年の日リオデジャネイロ大会の閉会を翌朝に控え、若者たちと「祈りの前夜祭」を行った。当初、リオデジャネイロのグアラティバ地区の「カンプス・フィデイ」を予定していた会場だが、連日の悪天候により土壌の状態が適さないことからコパカバーナに変更して行われた。コパカバーナの海岸には約200万人の若者が集まった。
教皇は、訪問最終日の28日午前、世界青年の日リオデジャネイロ大会の記念閉会ミサを行った。会場のコパカバーナ海岸には、前夜祭を上回る約300万の参加者の、色とりどりの国旗やTシャツのモザイクがどこまでも続いていた。
教皇はミサの中で、今大会のテーマ、「だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい」(マタイ28・19)を改めて示しながら、世界から集って共に信仰の時を過ごしたこの素晴らしい体験を、イエスの弟子として他の人々にも伝えにいこうと、若者たちに力強く呼びかけた。
そして、「奉仕のために」「恐れず」「行く」という3つの言葉を掲げて、若者たちの宣教を励ました。
最後に、教皇は2016年の世界青年の日大会の開催地を「クラクフ、ポーランド」と発表、赤と白の国旗を持ったポーランドの若者たちをはじめ、会場の参加者から大きな歓声が上がった。クラクフは世界青年の日を創始した福者ヨハネ・パウロ2世にゆかりの深い都市。
同日夜の帰国を前に、教皇は午後リオデジャネイロ・スマレの司牧センターでラテンアメリカ司教協議会の代表司教らと会見した。さらに、コンベンションセンターで大会運営ボランティアに挨拶した後、ガレオン・アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港から特別機でブラジルを後にした。
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