わたしにつまずかない者はさいわいです
ルカの福音書7章18~35節
[1]序、この箇所の流れ・構造
(1)7章18~23節
<ヨハネ→二人の弟子>
【7章19節】すると、ヨハネは、弟子の中からふたりを呼び寄せて、主のもとに送り、「おいでになるはずの方は、あなたですか。それとも、私たちはほかの方を待つべきでしょうか」と言わせた。
<二人の弟子→主イエス>
【7章20節】ふたりはみもとに来て言った。「バプテスマのヨハネから遣わされてまいりました。『おいでになるはずの方は、あなたですか。それとも私たちはなおほかの方を待つべきでしょうか』とヨハネが申しております。」
<主イエスの宣教活動の事実>
【7章21節】ちょうどそのころ、イエスは、多くの人々を病気と苦しみと悪霊からいやし、また多くの盲人を見えるようにされた。
<主イエス→ヨハネの弟子>
【7章22節】そして、答えてこう言われた。「あなたがたは行って、自分たちの見たり聞いたりしたことをヨハネに報告しなさい。目の見えない者が見、足のなえた者が歩き、ツァラアトに冒された者がきよめられ、耳の聞こえない者が聞き、死人が生き返り、貧しい者たちに福音が宣べ伝えられている。」
<結び>
【7章23節】「だれでもわたしにつまずかない者は幸いです。」
(2)7章24~35節
主イエスは、群衆がヨハネについて知る必要を認める。ヨハネ自身について、ヨハネのバプテスマに対して二つの態度(29、30節)。この世代の人々について、31節以下。35節結び。
[2]「だれでも、わたしにつまずかない者は幸いです」(18~23節)
(1)主イエスの宣教
①主イエスの宣教を伝える(ルカが)。
②主イエスご自身が宣教活動をこのように伝えられることを望んでいると記す。
(2)「つまずかなく」をめぐって
①「つまずかせないように」
マタイ18章6節以下、ロマ14章21節、Ⅰコリント8章13節。
②「つまずかないように」
主イエスの深い配慮、マタイ26章31~35節、ヨハネ16章1節。つまずかない唯一の道、主イエスのことば・聖書に留まることを通して。
[3]「神の国で一番小さい者でも」(24~35節)
(1)ヨハネが主イエスについて
(2)主イエスご自身がヨハネについて、二つの比較を通して
①ヨハネと他の人々(28節前半)
②そのヨハネと神の国で一番小さい者(28節後半)
[4]結び
(1)イザヤ53章、「主よ、汝の十字架をわれ恥ずまじ。」
(2)神の国で一番小さい者の喜び
(3)22節に共鳴する宣教活動・教会形成を
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。