6月20日から22日までブラジルリオデジャネイロで「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催されたが、目に見える具体的な成果が見えず、失望感が高まった。
ルーテル教会では、同会議に平行してルーテル教会のキリスト教徒及びその他の人々が「創造的な態度」で持続可能な社会、生態系の正義に関して取り組んでいくことを奨励する国家的教育プロジェクト「クリアティテュード」を開催していた。同プロジェクトに国際関係学を専攻する学生として参加していた、ブラジルにあるルーテル告白福音教会教会員のラクエル・クレバーさんは、他の青年クリスチャンらと同様に、同プロジェクトにおいて「諸宗教の権利」に関する異宗教間の対話を注意深く観察していた。
クレバーさんは、「リオ+20」のアウトリーチ活動に参加した経験を生かし、地球環境の正義に対して政治的な動機付けを行い、草の根活動を実践していこうとしている。クレバーさんは今回の「リオ+20」の結果について「確かに私達を失望させるものではありましたが、『クリアティテュード』の若者たちは、それぞれこれからの未来を正にこれまでとは違ったものとなるようにする希望と力を自分たちの手で創り出していこうとする志に燃えています。今回参加した40人の若者たちは皆地域レベルでの地球環境の正義プロジェクトに取り組んでいく熱意に溢れています」と述べている。
クレバーさんは現在仲間の学生たちの間で地球環境の正義のリーダー的存在となっており、日に日に専門分野に対する知識を増幅させている。リオ+20開催前の5月には、ルーテル世界連盟(LWF)によるインターネット上のバーチャルイベント「緑と正義に関するLWFバーチャル会議」にも参加していた。バーチャル会議では、リアルタイムでプレゼンテーションがインターネットを通じて行われ、ネット上で参加者がテキストチャットを通じてリアルタイムで質疑応答が出来る形式で進められていた。
クレバーさんは、昨年LWFが世界教会協議会(WCC)と合同で開催した「生態系の正義」に関する政治学、神学トレーニングの講座のためユース訓練コースでも幅広い知識を習得していた。
同コースにおける2週間の神学と地球環境の正義に関する政治学の集中訓練を受けた後、クレバーさんは他の青年クリスチャンの参加者らとともに、今後それぞれの地域に根差して、今回の訓練で得た知識や取り組みを促進させていく誓約をしていた。
クレバーさんは、「WCCとLWFによって提供された訓練は、私がこのプロジェクトを遂行していく決断を与えるものとなりました」と述べている。WCCは地球環境の正義に関して、エキュメニカルウォーターネットワーク(EWN)、創造物のための配慮、気候変動の正義プロジェクトおよび貧困、富と生態系プロジェクトの活動を通して取り組んでいる。
水資源の正義の行方
世界学生キリスト教連盟(WSCF)ラテンアメリカおよびカリブ地区代表のマルセロ・レイテスさんも、今回地球環境の正義の分野で草の根活動による影響力を与えようと奮闘している青年クリスチャンのひとりである。
レイテスさんは、南米における地球環境の正義に関する諸問題について取り組む青年リーダーシップ、市民団体活動、エキュメニカル活動の強化を目的とする長期的で広範囲な視野において活動する環境正義プロジェクトにこれまで関わってきた。
リオ+20のアウトリーチ活動において、レイテスさんは水資源の正義に関して関心を抱かせる写真を展示する活動を行っていた。レイテスさんは「地域社会で毎日のように直面している水資源の正義についての諸問題について関心を投げかける写真を展示しました」と述べている。
レイテスさんはこれまでアルゼンチン、ペルー、ボリビア、エクアドル、パラグアイ、コロンビアそしてブラジルと南米各地で展示会を開催しており、「私達は市民社会が芸術活動に参加し、多くの若者たちがそれぞれの地域社会で直面している水資源の正義について描く問題意識の啓発を促進して行きたいと思っています」と述べている。
レイテスさんも、クレバーさんと同様に昨年LWFとWCCによって開催された青年クリスチャン向け地球環境の正義訓練コースに参加しており、同訓練を受けたことが、地球環境の正義に関する活動のフレームワークを形成し、その後の活動の概念を与えるきっかけとなったという。
レイテスさんは「WCCとLWFの訓練からインスピレーションを得ることができました。それに加えて、訓練コースの始めから効果的に計画するためにはどうするべきかを学ぶことができ、地域レベルでの活動進展に大きな成果を与えることにつながりました」と述べている。