21日から北海道・札幌で開かれている第5回日本伝道会議(テーマ:危機の時代における宣教協力)の最終日24日に採択される「札幌宣言」の案が会議2日目の22日、参加者全員に配られた。今年、日本のプロテスタント宣教150周年を迎えるのと関連して、150年間の宣教を回顧して感謝、悔い改める内容が盛り込まれ、また開催地となった北海道の先住民族であるアイヌ民族へ対する歴史的な反省についても言及された。23日午後5時までに同案に対する意見を受け付け、24日のエンディングセレモニーで採択される予定。以下、「札幌宣言」(案)。
第2章 危機の時代における私たちの使命
第1節 危機の時代
2000年の沖縄宣言の後、社会情勢は大きく変化し、現代は「危機の時代」と呼ばれています。現実に、世界、日本、教会の三つのレベルで、危機は進行しつつあります。
世界では、2001年の9・11事件から各地で報復と憎悪の連鎖が続いています。また食糧危機や、2008年の金融危機などによって、貧富の格差が拡大し、環境問題も深刻化しています。さまざまな危機は、グローバル化によって全世界に広がり、日本もまたその中に呑み込まれようとしています。
日本では、家庭における虐待、学校におけるいじめ、雇用問題の悪化、薬物の乱用、衝動的な無差別殺人など、社会のひずみが深刻化しています。さらに「国歌・国旗」の強制や平和憲法の改定への動きなど、右傾化が強まりつつあります。
このような中で、日本宣教は厳しい状況です。教会員の高齢化や、青少年層の減少が進んでいます。困難の中で職を退く牧師もあり、教会の無牧化や閉鎖などの事態が生じています。また教会のカルト化、各種のハラスメントなど状況は深刻です。
第2節 私たちの希望
このような危機に私たちは立ち向かいます。沖縄宣言では、罪ある人間が救いを得る唯一の道である「和解の福音」を共に生きることが表明されまいた。主は、世界を創造し、歴史を支配し、すでに和解のみわざを成し遂げ、今、その動きを、聖霊によって、力強く進めておられます。和解の主を信じ、告白し続けることが、私たちの力です。
主は、和解のみわざを完成するために、再び、天から来られます。沖縄宣言は、「アーメン、主イエスよ来てください」(黙22:20)と結ばれています。今日の危機の時代を克服するために、私たちは、今、新たな思いで、キリストの再臨による歴史の完成、新天新地の実現への期待を強く表明します。
この信仰と希望の故に、私たちは困難な現実に直面しても、決して失望することはありません。私たちは、主が再び来られ、すべてを完成してくださることを確信し、力強く前進していきます。
第3節 私たちの使命
福音こそが、人を変え、世界を変えていく力です。私たちは、福音のことばに聴き従い、希望を抱いて福音宣教に励みます。
また、今ここで、神の国が教会を通して実現していくことを祈り求め、世の光、地の塩としての社会的責任を果たします。人間関係の崩壊現象を食い止めるため、私たちは、和解の民として、平安と慰めをもたらすように努めます。また、世界的な規模で拡大している貧富の格差、暴力の連鎖、環境汚染に対し、平和の主によって解決がもたらされるよう力を尽くします。
このような使命を確信し、私たちは、家庭、教会、地域社会、日本、世界において、力強く、宣教協力を進めていきます。
【第5回日本伝道会議 札幌宣言(案)目次】
第2章:危機の時代における私たちの使命
第1節 危機の時代 第2節 私たちの希望 第3節 私たちの使命
第3章:宣教協力の実現
第1節 家庭において 第2節 教会において 第3節 地域社会において
第4節 日本において 第5節 世界において